村田製作所は、+48V入力に対応したチャージポンプ方式の降圧型DC-DCコンバーターICを発売した(ニュースリリース)。最大出力電力は72W(+12V×6A)と大きい。スイッチング素子(FET)を内蔵しており、積層セラミックコンデンサーなどを外付けして降圧型DC-DCコンバーター回路を構成できる。同社によると、「+48V入力対応で、FETを内蔵したチャージポンプ(スイッチトキャパシター)方式DC-DCコンバーターICの製品化は業界初」という。+48Vの入力電圧を+12Vの中間バス電圧に変換する用途に向ける。その後、+12Vの中間バス電圧は、POL(Point Of Load)コンバーターで+1.0V付近の低い電圧に変換してFPGAやASIC、マイクロプロセッサー、GPUなどに供給する。主な応用先は、データセンター機器や、通信/ネットワーク機器、光伝送機器、半導体製造装置、産業機器などである。

+48V入力に対応したチャージポンプ方式の降圧型DC-DCコンバーターIC
写真はこのICの評価ボードである。中央に実装したチップが今回の新製品。その周辺に実装した受動部品がチャージポンプ回路を構成する積層セラミックコンデンサーである。(出所:村田製作所)
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 従来、データセンター機器などのボード(プリント基板)において+48V入力を+12Vの中間バス電圧に変換する際には、ブリックサイズの絶縁型DC-DCコンバーターモジュールを使うのが一般的だった。「これを新製品で置き換えることで、変換効率を高められると同時に、ノイズの低減と外形寸法の小型化を達成できる。例えば、最大出力電力が70Wの1/16ブリックサイズ品を新製品で置き換えると、変換効率は2ポイント高められ、ノイズは10dB抑えられるとともに、ボード上の実装面積は70%、実装高さは85%削減できる」(同社)という。72W出力時のピーク変換効率は97%に達するとしている。

 新製品の型番は「PE 25204」である。チャージポンプ方式を採用した同社のDC-DCコンバーターICファミリー「FlexiCP」に含まれる。降圧比は4対1のほかに、3対1が選べる。4対1は、+48V入力を+12Vに降圧する用途向け。3対1は、産業機器などで使われる+24〜36Vの入力を+8~12Vに降圧する用途に向ける。積層セラミックコンデンサーの外付け個数は、4対1の場合は6個、3対1の場合は4個である。スイッチング素子とコンデンサーによるチャージポンプ回路を2系統集積しており、それらの位相を180度ずらしてインターリーブ動作させることで出力リップル電流を抑えている。

新製品の内部ブロック図
(出所:村田製作所)
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 新製品は、絶縁機能と出力安定化機能を搭載していない。ただし、「最近のデータセンター機器などでは、前段にAC-DCコンバーターを配置するのが一般的になっており、これに絶縁機能と出力安定化機能が搭載されている。このため、新製品にこれらの機能がなくても実用上問題ない」(同社)という。新製品には低電圧誤動作防止機能や過電流保護機能、過熱保護機能などを搭載した。72W以上の出力電力を必要な用途に向けて並列運転機能も用意した。パッケージは、実装面積が3.6mm×5.8mmのWLCSP。最大動作接合部温度は+125℃。すでに量産を始めている。1000個購入時の参考単価は3米ドルである。