カシオ計算機は、工場での人物認識などに使えるAI(人工知能)カメラを2022年度中に発売する。民生デジタルカメラ事業で培った画像処理技術を生かし、消費電力とコストを抑える。「カメラ単体で20万円以下の価格を目指す」と同社の担当者は明かす(図1)。

図1 カシオが開発するAIカメラ
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図1 カシオが開発するAIカメラ
ルネサスエレクトロニクスと共同開発したマイクロプロセッサー(MPU)「EXILIM Engine B2」を搭載。同MPUは、ルネサスの「RZ/V2M」をベースとして開発している。外形寸法は350mlのペットボトル程度。21年時点の試作機から外観を若干変更した。(撮影;日経クロステック)

 22年4月に東京ビッグサイトで開催された「第11回IoT&5Gソリューション展」に出展した。開発品は、深層学習の一種である物体認識用CNN(畳み込みニューラルネットワーク)をカメラ内(エッジ側)で実行する。ルネサスエレクトロニクスと共同開発したマイクロプロセッサー(MPU)「EXILIM Engine B2」注1)を搭載することで、高い画像処理能力を維持しながら消費電力を抑えられるという。「工場の無駄な作業の洗い出しや、職人の手さばきの伝承などに使える。駅などでの利用者の転倒検知などへの活用も想定している」(担当者)(図2)。

注1)EXILIM Engine B2は、ルネサスのMPU「RZ/V2M」をベースとしている。動的再構成可能な汎用アクセラレーター(DRP)を搭載し、CPUコアでのソフトウエア処理に比べて10倍以上の高速化ができるという。同MPUに、カシオの顔認証技術などのノウハウを組み合わせた。

図2 撮影対象の姿勢などをカメラで認識することで、工場作業者の非効率な作業の改善などに向けられる
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図2 撮影対象の姿勢などをカメラで認識することで、工場作業者の非効率な作業の改善などに向けられる
(撮影:日経クロステック)

 カシオはAIカメラで数百億円の売り上げ目標を掲げている。目標達成への課題が、BtoB(企業向け)事業の経験不足だ。

 BtoB事業の経験不足を補うためにカシオは、エレクトロニクス商社のリョーサンと協業した。今後は「1つの用途に限らず、いろいろな用途に活用していきたい。リョーサンと共同で、企業へ提案を進めていく」(同社)という。

 価格については、「類似品は30万円ぐらいの価格が多いが、カメラ単体で10万~20万円ぐらいを目指す」(同社)という。販売時期については「22年度中に製品化したい。21年秋の販売を予定していたものの、新型コロナウイルスの影響などで遅れている」と同社担当者は語った。