米Analog Devices(ADI)は、放射電磁雑音(EMI)を低く抑えた最大8.5A×2チャネル出力構成の降圧型DC-DCコンバーターIC「LT8652S」を発売した(製品紹介ページ)。同社独自の「Silent Switcher 2」技術の採用に加えて、スペクトラム拡散周波数変調機能を搭載することで低EMI動作を実現した。EMI規制値である「CISPR25」を簡単にクリアーできるという。サーバーや産業機器、車載機器などに向ける。なお、車載用半導体IC「AEC-Q100」への準拠に向けた作業は、現在進行中である。

EMIを低く抑えた最大8.5A×2チャネル出力構成の降圧型DC-DCコンバーターIC
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 Silent Switcher技術の特徴は、電源入力を2つに分割した点にある。通常、電源入力部にはグラウンドとの間にバイパスコンデンサーを挿入する。すると、バイパスコンデンサーから、IC内部のハイサイドスイッチとローサイドスイッチを通ってグラウンドを経由し、再びバイパスコンデンサーに戻る電流経路(ホットループ)が形成される。ホットループからは高レベルのEMIが放射される。そこでSilent Switcher技術では、電源入力を2つに分割してホットループを2つ作り、それぞれが完全な線対称になるように配置する。こうすることで、2つのホットループから放射されるEMIを互いに打ち消し、低EMI動作を実現している。ただし、実際には基板設計時のさまざまな制約によって、線対称での配置が難しいケースが少なくない。そこでSilent Switcher 2技術では、ICパッケージに2個のバイパスコンデンサーを内蔵した。こうすることでホットループの完全な線対称を実現し、EMIの放射レベルを最小限に抑えたという。

 フィードバックループの制御方式は、固定周波数のピーク電流モードである。同期整流方式を採用する。ハイサイドスイッチとローサイドスイッチを2チャネル分集積した。オン抵抗は、ハイサイドスイッチが24mΩ(標準値)、ローサイドスイッチは8mΩ(標準値)である。入力電圧範囲は+2.6〜18V。出力電圧は2チャネルどちらも外付け抵抗を使ってユーザーが設定できる。最小オン時間は20ns。2チャネルを同時に動作させたときの各チャネルの最大出力電流は8.5Aで、1チャネルのみを動作させたときの最大出力電流は12Aである。2チャネルの出力を1つに束ねて、2相(フェーズ)駆動させたときの最大出力電流は17Aになる。なお、今回の新製品を2つ用意し、並列接続して4相(フェーズ)駆動すれば最大34Aの出力電流が得られる。

 スイッチング周波数の設定範囲は300k〜3MHz。変換効率は+12V入力、+3.3V/6A出力、1MHz動作時に93.6%が得られる。通常負荷時はPWMモードで動作するが、軽負荷時は同社独自の「Burst Mode」に移行する。Burst Mode時の消費電流は16μA。出力リップル電圧は最大10mVPPと小さい。パッケージは、実装面積が4mm×7mmの36端子LQFN。動作温度範囲は−40〜+125℃。すでに量産出荷を始めている。1000個購入時の参考単価は4.50米ドルである。

 このほか、最大入力電圧が+42Vで最大4A×2チャネル構成の「LT8650S」(製品紹介ページ)。と、最大入力電圧が+42Vで最大2A×2チャネル構成の「LT8653S」(製品紹介ページ)。を併せて発売した。この2製品もSilent Switcher 2技術を採用しており、CISPR25を簡単にクリアーできるとしている。LT8650Sのパッケージは、実装面積が4mm×6mmの32端子LQFN。LT8653Sは、実装面積が4mm×3mmの20端子LQFN。2製品どちらも量産出荷を始めている。1000個購入時の参考単価は、LT8650Sが5.75米ドル、LT8653Sが4.02米ドルである。