オムロンは2021年5月20日、高速で高精度の加工が可能な「ガルバノレーザー」向けの制御装置「CK3W-GC」を同月24日に発売すると発表した。レーザーのオン/オフの切り替えをレーザーの移動距離で制御する。時間で制御する従来の制御装置と比べると調整が容易で、レーザー装置の立ち上げにかかる時間を、従来の8割減となる2〜3日に短縮できる。電気自動車(EV)向けのコイルや2次電池など微細なレーザー加工が必要な製品の需要増などに対応する。

オムロンが発売するCKシリーズ用レーザーインターフェースユニット「CK3W-GC」
(出所:オムロン)

 新製品は、同社が販売する汎用モーションコントローラー「CKシリーズ」に装着して使う、拡張ユニットだ。「レーザー加工業界で初めて」(同社)、レーザー照射のタイミングを移動距離で設定する「TCR技術(Trigger output by Commanded distance for Rapid processing)」を用いたという。

 部材を設計通りにレーザーで加工するためにはレーザーのオン/オフのタイミングが重要だ。従来は時間を指定してオン/オフを切り替えていた。レーザーの動く速度は軌跡によって緩急があるため、時間で位置を指定することが難しい。正しいタイミングでレーザーを照射するには、熟練の技術者がレーザーの試し打ちをした後、顕微鏡でわずかなずれを確認し、経験に基づき補正するという作業を繰り返していた。調整には2~3週間かかっていた。

 一方、距離で制御する場合はレーザーの加減速などを考慮せずに済む。あらかじめ軌跡の距離をシミュレーションし、レーザーのオン/オフを切り替える位置を設定する。試し打ちや顕微鏡によるずれの確認作業はあるものの、物理的な距離の補正は複雑な計算が必要ないため大幅に装置の調整時間を短縮できる。

 CK3W-GCは単位時間当たりの生産量も増やせる。同製品を使うとレーザーのオン/オフのタイミングを他のレーザーと同期し、最大8製品を同時加工できる。従来の制御方法では時間同期できなく、歩留まりが悪くなってしまうため、同時加工は2製品が限界だった。

 ガルバノレーザーとは、レーザー光を可動式の鏡に反射させることで照射位置を高速かつ高精度に切り替える、ガルバノ機構を活用したレーザー技術のこと。名称は、鏡の制御に検流計(ガルバノメーター)の制御機構を応用したことに由来する。ウエアラブルデバイスのフレキシブルプリント基板の切断や、EVに搭載するヘアピンコイルの溶接など特に微細な加工が必要な場面で多く使われている。

 ウエアラブル市場の拡大やEVの普及により、ガルバノレーザーによる加工を必要とする製品が増えているため、生産性の向上が必須だった。さらに新型コロナウイルスの感染拡大でエンジニアが長時間製造現場に滞在しにくくなり、装置の設定や調整を行う期間の短縮が求められていた。

 新製品は主にレーザー加工機メーカー向けに販売する。価格はCPU、軸を制御するインターフェースユニット、電源など周辺機器を含めて100万円前後。2年間で2000台の販売を目指す。