米ザイリンクス(Xilinx)は、人工衛星などの宇宙アプリケーションに向けた放射線耐性が高いFPGAの新製品「RT(Radiation Tolerant) Kintex UltraScale XQRKU060」を発表した(ニュースリリース)。20nmプロセスで製造する。65nmプロセスで製造する前世代品に比べて演算リソースが増えたことなどにより、DNN(Deep Neural Network)ベースの推論処理性能が約25倍に向上したという。

「RT(Radiation Tolerant) Kintex UltraScale XQRKU060」の概要
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 宇宙アプリケーション向けに同社は90nmで製造する「XQRV4QV」、65nmプロセスで製造する「XQRV5QV」(関連記事:「宇宙でもASICよりFPGAが有利」,Xilinxが放射線耐性や性能を高めた宇宙用途のFPGAを発表)を開発・提供してきた。今回は20nmとさらに微細なプロセスを使用することで、演算リソースを増やした。例えば、65nmのXQRV5QV比で、CLB(Configurable Logic Block)のフリップフロップ数は約8倍、DSPスライス数は約8.6倍に増加した。また、MGT(Multi-Gigabit Transceiver)と呼ぶ外部I/Oトランシーバーの速度は4倍になった。

既存の耐放射線FPGA製品と新製品(右列)を比較
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 一方で、放射性耐性は65nmのXQRV5QVの方が高かった。例えば、TID(Total Ionizing Dose Effect)耐性は、XQRV5QVでは1000krad/チップ以上だったが新製品では100krad/チップになった。ただし、米Microchip Technologyが2019年10月に発表した競合品のFPGA「RT(Radiation-Tolerant) PolarFire」でもTID耐性は、今回のXilinxの新製品と同じ100krad/チップとしている(関連記事:宇宙でもAI処理、米マイクロチップが耐放射線FPGAの演算能力を5倍に)。

 MicrochipのRT PolarFireと同じく、演算性能を高めた新製品の有望な用途として、XilinxもAI推論を挙げている。宇宙用途では地上に比べて通信のコストや遅延が大きく、宇宙船や人工衛星内で、捉えた画像などの解析処理を実行できるメリットは大きい。Xilinxによれば、新製品のXQRKU060は8ビットの整数演算のピーク性能は5.7TOPsに達するという。この性能は、前世代品の25倍に相当するとしている。

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