イスラエルのスタートアップであるNexar(ネクサー)の日本法人は、ドライブレコーダー(車載カメラ)の映像を事故保険や道路管理、地図作製などに利用するサービスを2022年6月から本格展開する。映像データをクラウド上の人工知能(AI)で処理し、事故の分析や道路情報の把握などに利用する(図1)。日本では大手保険会社が事故の状況分析に導入したほか、レンタカー会社や地図会社などでもデータの利活用が進みそうだ。

図1 車載カメラの映像から閉鎖された道路を検出する様子
図1 車載カメラの映像から閉鎖された道路を検出する様子
(出所:ネクサー)
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 ネクサーのAIは車載カメラや加速度センサーのデータから、周囲の車両の位置関係や道路の状態、駐車スペースの空き状況、事故が起きた状況などを自動で分析する。クラウド上に収集した画像データなどを深層学習(ディープラーニング)による画像認識で解析し、さまざまなサービスに利用できるようにする。当面は事故の状況分析や、道路の破損や障害物などの情報を地図上にリアルタイムに反映する高精度マップの作製などを想定する。

 損害保険大手の三井住友海上火災保険(東京・千代田)は、2021年2月に自動車事故の損害調査にネクサーの「Vision AI」を導入した。既存のドライブレコーダーと車載センサーのデータをネクサーのAIで分析することで、「交差点に青信号で進入したところ、右折する対向車とぶつかった」というように事故状況を分析できるとしている(図2)。

図2 各データから事故状況を自動で分析する様子
図2 各データから事故状況を自動で分析する様子
(出所:ネクサー)
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 三井住友海上保険は既に数十万台の車両にこの機能を導入した。これまでは事故の調査に数日~数週間かかっていたが、ネクサ―のサービスを導入したことで、利用者からは「保険金請求の時間が短くなる」「過失割合の判定に利用できる」と期待の声が挙がる。国内ではタクシーやシェアリングカーを運営する事業者などを中心に、広くサービスを展開していく計画だ。

 車載カメラの映像を利用した高精度地図の作製も2023年ごろにも始める狙いだ。高速道路や一般道路の道路標識や工事区間、穴や障害物といった危険が伴う情報をAIで検知していき、デジタル地図上にリアルタイムに反映していく。実際に米国アリゾナ州フェニックスでは、ネクサーの高精度地図を、自動運転の実証に利用している。

 将来は地図情報を先進運転支援システム(ADAS)などに応用することも想定する。自動車メーカーと連携すれば、前方衝突警告や車線逸脱警告、居眠り検知といった支援が可能になる見込みだ。

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