東芝デジタルソリューションズ(川崎市)は、金属組織の試験を自動化するソリューション「AI等級判定サービスMETALSPECTOR/AI」の提供を開始した(図、ニュースリリース)。画像処理技術と深層学習(ディープラーニング)を活用して、これまで目視による官能検査に頼っていた金属組織の結晶粒度の判定作業を自動化する。省力化に加えて判定精度の平準化も図れる。

図:「AI等級判定サービスMETALSPECTOR/AI」の概要
(出所:東芝デジタルソリューションズ)
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 人工知能(AI)分析サービス「SATLYS」(サトリス)を利用する。SATLYSは、 東芝のものづくりの知見をAIの設計に生かし、高精度な識別や予測、要因推定、異常検知、故障予兆検知、行動推定などを実現するサービス。少数の学習データでも高精度に推論し、数万次元超のビッグデータを解析。AIがどこに注目して推論したかを見える化するため、異常要因を直感的に理解できるのが特徴とする。製造業における品質・生産性向上の他、エネルギー、社会インフラ、モビリティー、物流、医療、ビルといった分野でのデジタルトランスフォーメーション(DX)に適用されている。

 新ソリューションでは、熟練者の知見を盛り込んだ多様な教師データに基づいてAIが学習し、クラウド上で鋼材品質の結晶粒度の等級を判定する。これにより、熟練検査員の目視検査に近い認識精度を実現できるという。画像検査システム「非金属介在物測定装置METALSPECTOR」と組み合わせれば、ミクロ組織の試験業務の多くを自動化でき、対外的な監査にも証跡を示せる。

 一般に鉄鋼メーカーや自動車・航空機部品メーカーの品質管理部門では、鋼材の一部を切り出した試験片を対象に、検査員が顕微鏡を用いて非金属介在物の種類や量、鋼の結晶粒度の大きさなどを調べるが、こうした官能検査には個人の感覚が影響し、判定結果がバラつく恐れがある。加えて、検査業務が長時間に及ぶと検査員への負担が増え、判定の誤りや品質データの入力・転記ミスが発生することも考えられる。さらに、品質管理の厳格化や熟練検査員の不足といった課題もあるため、検査の自動化が求められている。しかし、従来の技術では熟練検査員による目視検査に匹敵するレベルでの自動化が難しかったという。 

 同社は新ソリューションを、東芝グループのインダストリアルIoT(Internet of Things)サービス群「TOSHIBA SPINEX」の1つとして提供する。TOSHIBA SPINEXは、IIC(Industrial Internet Consortium)のIIRA(Industrial Internet Reference Architecture)などグローバル標準に準拠した、CPS(Cyber Physical Systems)を実現するための共通の枠組み「東芝IoTリファレンスアーキテクチャー」(関連記事)を採用し、迅速なサービス提供と高い保守性を確保しているという。新ソリューションを含めて、社会インフラ/エネルギー/製造/物流の4分野向けに12種類のサービスを展開する予定だ。