島津製作所は2022年6月9日、超音波光探傷装置「MIV-X」を発売した。部品内部の剥離、亀裂、空洞といった、表面から見えない異常を可視化できる。複数種類の材料を利用して造ったマルチマテリアルの部品で、異なった種類の金属同士や金属とプラスチックの接合部位の検査にも利用できる。

図1 超音波光探傷装置「MIV-X」
図1 超音波光探傷装置「MIV-X」
被測定物内部の欠陥が分かる。(出所:島津製作所)
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 超音波光探傷装置は、超音波振動子を測定対象物の表面に接触させ、超音波を表面に沿って伝搬させ、微小な変形を発生させる。その状態でレーザーを照射し、測定対象物表面から反射されて戻ってきたレーザーの位相をカメラで検知。測定対象物の内部に剥離や亀裂が存在すると、この部位から戻ってきたレーザー反射光に周囲との不連続が生じるため、異常があると判定できる。「超音波のみを使う超音波探傷とは異なり、独自に開発した技術」(島津製作所)という。

図2 超音波光探傷の仕組み
図2 超音波光探傷の仕組み
超音波で起こした微小な変形をレーザーの反射で捉える。(出所:島津製作所)
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 1回の検査に要する時間は約20秒。最大600×400mmの範囲にある大きさ4mmの欠陥を検出できる。カメラの視野を150×100mmに絞れば、大きさ1mmの欠陥も検出可能。さらに、オプションのズームレンズやレーザー光軸調整機能の併用により、大きさ0.5mmの欠陥も検出できるようにした。

 島津製作所が2020年2月に発売した前身機種「MIV-500」に比べて、検査時の画像のノイズを除去してクリアにする機能、異常部位の寸法を計測する機能を加えた。検査時の画像は、測定対象物に欠陥がなければ一様な定常波が濃淡で見えるが、欠陥があると部分的に波長が短く、振幅の異なる波が現れ、濃淡の様子が変わる。レーザーの反射が強すぎるとノイズが生じる場合があり、MIV-Xではそのノイズを画像から取り除く機能を加えた他、背景の定常波を除去して異常部分だけを見られる機能も加えた。

 日本国内では先進的な異種材料接合技術が多く開発され、異種材料接合の試験に関する国際規格を日本が主導して制定したにもかかわらず、自動車の車体や部品では採用がなかなか進まなかった。島津製作所はMIV-500を航空機分野向けに発売していたが、MIV-Xはマルチマテリアルの製品開発に生かせるとして、幅広い業界に販売する考え。価格は1250万円(税別、同社希望価格)で、1年間で国内と海外合わせて20台を販売する計画。