TDKは、スマートフォンに搭載するDC-DCコンバーターに向けた電源インダクターの新製品を発売した ニュースリリース 。特徴は、定格電流(Isat)が大きいこと。スマホ向けSoC(System on a Chip)に電力を供給するDC-DCコンバーターで最もよく使われるインダクタンスが0.33μH品の定格電流は5.5Aである。同社従来品の5.0Aに比べると10%増やした。「従来のスマホ向けSoCは、コア部の消費電流が最大3.0〜4.0A程度だったが、最新のSoCでは4.0〜5.0Aに増えており、回路設計の余裕度を含めて電源インダクターの定格電流を5.5A程度まで増やしてほしいという要望がスマホメーカーからあった」(同社)。新製品は、この要望に応えて開発した。

スマートフォンのDC-DCコンバーターに向けた電源インダクター
スマートフォンのDC-DCコンバーターに向けた電源インダクター
(写真:TDK)
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 新製品の特徴は、もう1つある。直流抵抗(DCR)が同社従来品の32mΩと比べると約22%減の25mΩ(どちらも0.33μH品の最大値)と低いことである。このため、DC-DCコンバーターに適用すれば、変換効率が向上し、バッテリー駆動時間を延ばせる。応用機器はスマホのほか、タブレット端末やスマートウオッチ、AR/VRヘッドセットなどである。

新製品と同社従来品の特性を比較
新製品と同社従来品の特性を比較
今回発売した新シリーズ「TFM201208BLE」と同社従来シリーズ「TFM201208BLD」の3.3μH品を比較した。新シリーズの方が、定格電流は10%多く、直流抵抗(Rdc)は22%低い。電気特性の欄に掲載した2つのグラフは、左側がインダクタンスと直流電流(Idc)の関係のグラフ。右側は、新シリーズ(新製品)と従来シリーズ(従来品)の直流抵抗(Rdc)の標準値を比較したグラフで、どちらも複数の製品を測定した結果をプロットした。新製品の直流抵抗の標準値は22m〜23mΩである(出所:TDK)
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 新製品は、磁性体にFe(鉄)系の金属材料を採用し、コイルを薄膜工法で作成した電源インダクターである。新製品の名称は「TFM201208BLEシリーズ」。今回は、インダクタンスが異なる3製品を用意した。1つ目は0.33μHの「TFM201208BLE-R33MTCF」。前述の通り、定格電流は5.5Aで、直流抵抗は25mΩ(最大値)。2つ目は0.24μHの「TFM201208BLE-R24MTCF」。定格電流は6.5Aで、直流抵抗は20mΩ(最大値)。3つ目は0.47μHの「TFM201208BLE-R47MTCF」。定格電流は5.0Aで、直流抵抗は29mΩ(最大値)である。3製品いずれも、定格電圧は+20V。外形寸法は2.0mm×1.2mm×0.8mm。使用温度範囲は−40〜+125℃。新製品の主な仕様は下表の通り。

発売した3製品と開発中の2製品の主な仕様
発売した3製品と開発中の2製品の主な仕様
(出所:TDK)
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 量産は22年6月に開始する。サンプル価格は22円(税込み)である。

 同社は、前述の3製品に加えて、インダクタンスが1.0μHの「TFM201208BLE-1R0MTCF」と、1.5μHの「TFM201208BLE-1R5MTCF」の電源インダクターの開発を進めている。前者は、定格電流が3.3Aで,直流抵抗が64mΩ(最大値)。後者は、定格電流が2.6Aで、直流抵抗は110mΩ(最大値)である。この2製品は、無線LANやBluetoothの無線送受信回路や、オーディオ回路に対して電力供給するDC-DCコンバーターに向ける。こうしたDC-DCコンバーターは出力電流が比較的少ないため、大きなインダクタンスが必要になる。応用機器は、スマホやタブレット端末など。量産は22年10月末をメドに開始する予定である。