日清紡マイクロデバイスは、超音波センサーを搭載した産業機器に向けたオペアンプIC(図1)を発売した ニュースリリース 。応用先は、自動搬送ロボットや製造ライン向け物体検知装置、計測器、自動車向け防犯装置、自動ドア、自動水栓(蛇口)などである。新製品は、こうした電子機器や装置に搭載する近接センサーや液面レベルセンサー、重送検知センサーといった超音波センサーで検出した信号を増幅する。

図1 超音波センサーを搭載する産業機器に向けたオペアンプIC
図1 超音波センサーを搭載する産業機器に向けたオペアンプIC
(画像:日清紡マイクロデバイス)
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 新製品の特徴は、利得帯域幅積(GB積)が160MHzと広いと同時に、入力換算雑音(ノイズ)電圧密度が1.4nV/√Hz(標準値)と低いこと(図2)。これまで同社は、GB積が160MHzと広いオペアンプICを製品化していたものの、入力換算ノイズ電圧密度は7nV/√Hz(標準値)と高かったため、超音波センサーの信号増幅には使えなかった。同社によると、「超音波センサーの信号増幅に使えるオペアンプICの製品化は、国内の半導体メーカーでは今回が初めて」という。

図2 各種超音波センサーが利用する周波数
図2 各種超音波センサーが利用する周波数
超音波センサーは、利用する周波数の違いによって最適な用途が異なる。近接検知や液面レベル検知、重送検知に向けた超音波センサーは数10k〜700kHzを使う。これらの超音波センサーが検出した信号を増幅するオペアンプICには、その数100〜数1000倍の利得帯域幅積(GB積)が求められる。今回の新製品「NJM2725」はGB積が160MHzと広いため、数10k〜700kHzの周波数を利用する超音波センサーに使える(出所:日清紡マイクロデバイス)
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 入力換算ノイズ電圧密度が高いと超音波センサーの信号増幅用途に使えない理由は、信号波形を大きくひずませてしまう点にある。入力換算ノイズ電圧密度が7nV/√Hzの同社従来品を使うと、入力信号は正弦波だったにもかかわらず、増幅後の出力信号波形は大きくひずみ、正弦波ではなくなってしまう(図3)。一方、今回の新製品を使えば多少のひずみは発生するが、正弦波を保ちながら増幅できる。このため精度の高いセンシングが可能になるという。

図3 正弦波入力を1万倍に増幅した際の出力波形
図3 正弦波入力を1万倍に増幅した際の出力波形
入力換算ノイズ電圧密度が7nV/√Hzの同社従来品を使った場合と、1.4nV/√Hzの新製品を使った場合で、正弦波入力を1万倍に増幅した際の出力波形を比較した。同社従来品を使った場合は、正弦(サイン)波が大きくひずんでしまった。一方、今回の新製品を使った場合は、多少ひずんでいるものの、正弦波の形状を保ちながら増幅できた。なお、どちらの場合も、オペアンプ回路を2つ使用した2段増幅回路で20μVの正弦波入力を1万倍(100×100)に増幅した(出所:日清紡マイクロデバイス)
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 新製品の型番は「NJM2725」。オペアンプ回路を2つ集積したデュアル品である。入力オフセット電圧は1mV(最大値)。入力バイアス電流は10μA(最大値)。スルーレートは15V/μs(標準値)。全高調波ひずみ+雑音(THD+N)は0.1%(標準値)である。グラウンド電位や電源電圧に信号が入力された際に、出力信号が反転することを防ぐ回路を搭載した。単一の電源電圧で動作する。電源電圧範囲は+4〜10Vである。消費電流は4mA(オペアンプ回路1個あたり)。パッケージは、外形寸法が2.8mm×2.9mm×1.2mmの8端子MSOP。動作温度範囲は−40〜+125℃。1リール(2000個)購入時の参考単価は198円(税込み)である。

 このほか、外形寸法が3.9mm×4.9mm×1.55mmの8端子SOP封止品を開発中である。