米Velodyne Lidarは2021年6月14日、業界最小クラスとなる小型LiDAR(Light Detection And Ranging)「Velabit」の新開発品を発表した 発表資料 。Velabitは20年1月に一度、“100米ドルLiDAR”として発表済みだが、今回はその機能更新版だという 関連記事 。いずれもまだ量産はしていない。
Velabitは、レーザー光の走査に機械的回転機構を用いないソリッドステート式のLiDAR。Velodyneは「独自開発のMLA(Micro LiDAR Array)アーキテクチャー」を用いているとする。今回、同社はそのアーキテクチャーの一端を動画で一部公開した。
測距可能距離は最長100m(従来品は80m)。視野角(Field of View:FoV)は水平方向が90度(同60度)、垂直方向が70度(同10度)とともに大きく広がった。1秒間に測距できるポイント数は「先代の3倍」(Velodyne)とする。波長が903nmのクラス1レーザー光を用いる。
寸法は2.4インチ×2.4インチ×1.38インチ(約61mm×61mm×35mm)で、体積は130ccと従来と同じ。質量は125gである。消費電力は3~6W。価格や量産出荷時期は未公表である。
想定用途は無人の配達ロボットか
小型化した分、測距可能距離はやや短く、自動運転車両のメインのLiDARに使うことは難しそうだ。ただ、車両側面や後方など特定の方向に向けた補助的な用途であれば可能性がある。
Velodyneのメインの想定用途は、無人搬送車(UAV)やドローンのようだ。こうした用途では軽量小型であることが大きな強みになる。
LiDARの小型化進む
この発表の3日前、6月11日には東芝が測距可能距離が200mと長いまま約350ccと小型のLiDARを発表している。FoVが水平24度、垂直12度とやや狭いが、解像度は1200×80と高く、水平方向の角度分解能は0.02度と業界最高水準だ。
LiDARの次世代技術には、光の送受光部が数mm角、レンズなど光学系を含めても2~3cm角といったさらに小型のものもできつつある。しばらくは、LiDAR製品の小型化競争が進みそうだ。