三菱電機は、+1200V耐圧のSiC(炭化ケイ素)パワーMOSFET 「SiC-MOSFET 1200V-Nシリーズ」を開発し、2020年7月にサンプル出荷を始めると発表した(ニュースリリース)。オン抵抗とゲート電荷量の積で求める性能指数(FOM:Figure Of Merit)が140mΩ・nCであり、これは「業界最高水準の性能指数」(同社)という。オン抵抗が低いため導通損失を抑えられ、ゲート電荷量が少ないためスイッチング損失を減らせる。電源回路に適用すれば、電力損失を大幅に低減することが可能だ。同社によると、「既存のSi製IGBTを置き換えることで、電源回路の電力損失を約85%低減できる」(同社)という。自動車のオンボード充電器や、太陽光発電用インバーター装置などに向ける。

性能指数が140mΩ・nCと優れた+1200V耐圧のSiCパワーMOSFET
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 製造プロセス技術を工夫することで、性能指数を改善した。具体的には、JFETドーピング技術を採り入れた。この技術は、JFET領域の不純物濃度を高めて素子を高密度化するものだ。このため、オン抵抗化と低ゲート電荷量化の両立を可能にした。さらに「誤動作を誘引する原因となる帰還容量を低減することで、一般的なSiCパワーMOSFETの課題である誤動作耐量を競合他社品と比べて約14倍に高めた」(同社)という。

 まずは6製品を発売する。こののうちの3製品は、最大ドレイン電流が102Aでオン抵抗が22mΩ(標準値)の「BM022N120S」と、最大ドレイン電流が68Aでオン抵抗が40mΩ(標準値)の「BM040N120S」、最大ドレイン電流が38Aでオン抵抗が80mΩ(標準値)の「BM080N120S」である。残る3製品は、上記の3つの製品の「AEC-Q101」規格準拠版だ。AEC-Q101規格は、車載向けディスクリート半導体の品質規格。型番はそれぞれ「BM022N120SJ」「BM040N120SJ」「BM022N120SJ」である。

 パッケージは6製品いずれも、外形寸法が15.9mm×41.0mm×5.0mmの3端子TO-247。

サンプル価格は、BM022N120SとBM022N120SJが6000円(税別)、BM040N120SとBM040N120SJが3300円(税別)、BM080N120SとBM022N120SJが1600円(税別)である。

 なお今回の新製品は、2020年11月16〜18日に中国の上海で開催される予定の「PCIM Asia 2020」に出展する計画である。