ロームは、単位面積当たりのオン抵抗を同社従来品に比べて約40%削減した+1200 V耐圧のSiC(炭化ケイ素)パワーMOSFETを開発した(ニュースリリース)。+1200V耐圧SiCパワーMOSFETとしては、同社の第4世代品に当たる。ベアチップでのサンプル出荷を2020年6月に開始した。今後、パッケージに封止したディスクリート品のサンプル出荷も始める予定である。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に向けたオンボード充電器やトラクションインバーター(主機用インバーター)のほか、産業機器向け電源装置やインバーターなどに向ける。

単位面積当たりのオン抵抗を約40%削減した+1200 V耐圧SiCパワーMOSFET
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 一般に、パワーMOSFETでは、オン抵抗と短絡耐量時間(短絡時に破壊に至るまでの時間)はトレードオフの関係にある。つまり、オン抵抗を削減すると短絡耐量時間は短くなり、信頼性が低下してしまう。そこで今回の開発品では、同社独自の素子構造「ダブルトレンチ構造」にさらなる改良を加えることで、短絡耐量時間を犠牲にすることなく、オン抵抗の削減を実現した。例えば、ゲート-ソース間電圧が+18Vのときのオン抵抗は、第3世代品では約23mΩだったが、第4世代品では約12mΩと低い。

 さらに、ゲート‐ドレイン間容量寄生容量を大幅に削減することでスイッチング損失(Etotal)を約50〜60%削減した。電流変化量が8kA/μsのときのスイッチング損失は、第3世代品では約9.5mJだったが、第4世代品では約4mJに低減した。スイッチング周波数を高めても電力損失の増加を抑えられるため、SiCパワーMOSFETが本来有する高速なスイッチング特性を得られるという。

 製品の詳細な特性値(スペック)や、量産開始時期は未定である。