コクヨは、灰色の紙に白色と黒色を使い分けて書くことで視認性に優れたノートを作成できる「白と黒で書くノート」を発売する(図1、ニュースリリース)。重要な部分の色を替えて強調する他、周辺情報を十分に書き込む、立体を表現するなどの使い方を想定する。同社のデザインコンペティション「コクヨデザインアワード2018」で優秀賞を受賞した、プロダクトデザイナーの中田邦彦氏の作品を製品化した。

図1:「白と黒で書くノート」の外観(左)と使用例(右)
文字の色を白と黒に分けることで、鮮明なノートを作れる。(出所:コクヨ)
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 地の色(紙の色)に対して暗い色の文字と明るい色の文字は同時に視認しにくい、という視覚の性質を利用する。ノートに書かれた黒い文字を読み進めて白い文字へ視線を移すと「視覚のスイッチが切り替わるような一瞬の間を置いて文字を認識し、それぞれの色の文字に集中して読める」(中田氏)。このように色覚の3要素のうち明度の差を利用した表現は、多様な色覚を持つ人が識別しやすいのも利点だ。

 重要な部分の色を替えて際立たせれば、その文字を集中して読める。赤色の文字で書いて色相の差で目立たせるよりも「優しいコミュニケーション」(同氏)ができるとする。さらに、図表を作成する際に光の部分を白色で、影の部分を黒色で描いて立体感を表現するなど「色の境界をノートでの紙で作り出すことで、新しい使い心地が生まれる」(同氏)という(図2)。

図2:白色と黒色による立体の表現例
白色と黒色で光と影を表現できる。(出所:コクヨ)
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 白と黒で書くノートのアイデアが提案されたコクヨデザインアワードは、使う人の視点から優れたデザインを募り、製品化を目指すコンペだ。2002年から開催されており、過去の受賞作品では、細かい部分も修正しやすい消しゴム「カドケシ」(2002年佳作、神原秀夫氏)や、1つのペン先で3種類の線を引ける蛍光マーカー「ビートルティップ」(2007年優秀賞、park_misaki氏)、幾何学が定義する「線」(太さのない線)で目盛りを表現し、正確な測定を可能にする定規「本当の定規」(2014年優秀賞、坂井浩秋氏、関連記事)など17点の製品化が実現している。2018年は「BEYOND BOUNDARIES」をテーマに設定し、46カ国から1289点の作品が集まった。

 白と黒で書くノートの製品化に当たってコクヨは、さまざまなサイズや仕様の試作品を製作するとともに使用例を収集して使用場面の具体化を進めた。その過程では、マインドマップのような図解やイラストを伴う使い方が多いと分かった。ここから「中央が分断されるリングノートは、アイデアを発散したりまとめたりする使い方には合わないかもしれない」といった検討を重ね、フラットに開ける製本法を採用したという(図3)。

図3:見開きの状態
アスペクト比は、パソコン画面を意識した16:10。綴じ具を使わずフラットに開ける製本法を採用した。(出所:コクヨ)
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 同様に灰色の濃さや罫線についても検証し、中紙は5mm方眼罫に設計した。閉じたときのサイズは縦210×横168mmで、見開き時のアスペクト比はパソコン画面にも採用される16:10。これは、パソコンで検討した内容をノートに展開したり、パソコンの手前にノートを置きながら作業したりといった場面を想定した特殊サイズだ。

 価格は900円(税別)。2020年6月25日から、同社が運営するライフスタイルショップ&カフェ「THINK OF THINGS」(東京・渋谷)と公式オンラインショップ「コクヨショーケース」で販売する。