ロームは、+1700V耐圧のSiCパワーMOSFETを内蔵した表面実装タイプのAC-DCコンバーター(スイッチング電源)ICを発売した。これまで同社は、挿入実装品を販売してきたが、今回初めて、表面実装品を発売する。交流(AC)入力が最大400VAC、出力電力が最大+48Vの産業機器向け補機電源(サブ電源)に向ける。具体的な応用先は、汎用インバーター装置やACサーボ、プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)、業務用エアコン、街灯などである。

SiCパワーMOSFETを内蔵したAC-DCコンバーターIC
(出所:ローム)
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 挿入実装タイプの同社従来品(TO220-6Mパッケージ封止)と比較した際の新製品(TO263-7Lパッケージ封止)のメリットは、チップマウンターを使ってプリント基板に自動実装できる点にある。このため「実装コストを削減できる」(同社)。また、SiパワーMOSFETなどのディスクリート部品を使って構成する従来手法に比べると、次のような2つのメリットが得られるという。1つ目は、部品点数を削減できること。「従来は、12個の電子部品と放熱板が必要だったが、これを新製品1個で置き換えられる」(同社)。

ディスクリート部品で構成した場合と新製品を使った場合を比較
(出所:ローム)
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 2つ目は、SiパワーMOSFETをSiCパワーMOSFETに置き換えることで変換効率を約5ポイント高められることである。

変換効率の比較
SiパワーMOSFETなどのディスクリート部品で構成した場合と、SiCパワーMOSFETを内蔵した新製品を使った場合の変換効率を比較した。新製品を使えば、変換効率を5ポイント高められ、電力損失を28%削減できるという。(出所:ローム)
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 新製品の型番は「BM2SC12xFP2-LBZ」。擬似共振(ソフトスイッチング)方式を採用したため、放射電磁ノイズ(EMI)を抑えられるという。スイッチング周波数は最大120kHzである。軽負荷時にはバースト動作に移行する。通常動作時に消費電流は800μA(標準値)、バースト動作時は500μA(標準値)と少ない。保護機能として、入力電圧の低電圧ロックアウト機能(UVLO)や入力電圧の過電圧保護機能、サイクルごとの過電流保護機能、ソフトスタート機能、過負荷保護機能などを備える。パッケージの外形寸法は10.18mm×15.5mm×4.43mm。動作温度範囲は−40〜+105℃。過電圧(VCC OVP)や過負荷(FB OLP)が発生したときの対応方法の違いで4製品を用意した。4製品の主な仕様は下表の通りである。

新製品の主な仕様
今回の4つの新製品に加えて、挿入実装タイプの同社従来品の主な特性をまとめた。(出所:ローム)
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 現在、サンプル出荷中である。サンプル価格は1650円(税込み)。量産は2021年10月に開始する予定である。評価ボード「BM2SC123FP2-EVK-001」を用意している。