オーストリアamsは、256チャネル入力に対応する医療用X線フラットパネル検出器向けデジタル読み出しIC「AS5850A」を発売した(ニュースリリース)。医療用X線フラットパネル検出器は、入射したX線をシンチレーターで光に変換し、各画素に作り込んだフォトダイオードで受光して電気信号(電荷)として蓄える。各画素にはTFT(Thin Film Transistor)素子が作り込まれており、これを使ってラインごとに信号を読み出す。今回の新製品は、フォトダイオードで受光して蓄えた電荷を最大256チャネル分読み出して、デジタル信号に変換して出力する。いわゆる「電荷-デジタル変換器」である。ダイナミック/スタチックなデジタルX線スキャナーや、デジタルX線撮影装置、マンモグラフィー(乳房X線撮影装置)、X線透視装置などに向ける。

医療用X線フラットパネル検出器向けデジタル読み出しICを使った応用例(デジタルX線スキャナー)
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 電荷検出アンプ(CSA:Charge Sensitive Amplifier)や低域通過フィルター、相関2重サンプリング(CDS)回路、16ビットA-D変換器から成るアナログ・フロント・エンド回路を128個搭載した。このアナログ・フロント・エンド回路は2チャネル入力が可能なため、最大で256チャネルの入力に対応できる。電荷測定のフルスケール範囲は0.5p〜16pC。入力換算ノイズは500電子。1ライン当たりの読み出し時間は20μs、28.5μs、40μs、80μsの中から選択できる。ノイズに対する要求が比較的緩いX線透視装置向け専用モード(ADC low-OSRモード)を備えており、これを使えば1ライン当たりの読み出し時間を15μsに短縮できる。さらに、隣接チャネルの信号をまとめて読み出すビニングモードを用意した。これを使えば1ライン当たりの読み出し時間を10μsまで短くできる。なお、1ライン当たりの読み出し時間を長い値に設定すれば、消費電力を抑えられる。20μsのときの消費電力は3.1mW、28.5μsのときは2.6mW、40μsのときは1.6mW、80μsのときは1.1mWである。

 基準電圧源や温度センサー、動作診断回路、SPIインターフェース、LVDSインターフェースなどを集積した。電源電圧は+1.1〜3.1V。1ラインの容量は最大200pFまで対応できる。X線フラットパネル検出器に直接実装できるように、チップ・オン・フレキシブル(COF:Chip On Flexible)形式で出荷する。COFは、フィルム(ポリイミドなど)に作り込んだ回路基板の上に半導体チップを実装したものである。価格は明らかにしていない。