ロームは、SiCショットキー・バリアー・ダイオード(SBD)を内蔵した+650V耐圧のIGBTを3製品発売した。内蔵したSiC SBDはIGBTの還流ダイオードとして機能する。一般的なIGBTは、Siファスト・リカバリー・ダイオード(FRD)を内蔵している。同社によると、「Si FRDをSiC SBDに置き換えることで、ターンオン時に発生するスイッチング損失を大幅に削減できる」という。車載用ディスクリート半導体の品質規格「AEC-Q101」に準拠する。具体的な応用先は、電気自動車(EV)に搭載するオンボードチャージャー(車載充電器)や車載用DC-DCコンバーター、車載電装機器のほか、太陽光発電向けパワーコンディショナー、産業機器などである。

今回の新製品
(出所:ローム)
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 新製品を、Si FRDを内蔵した従来のIGBTの代わりに車載充電器に適用すれば電力損失を67%低減できるとする。同じ耐圧ではIGBTよりも電力損失が少ないスーパージャンクション(SJ)型パワーMOSFET(ダイオードはチップに集積されている)と比較しても、SiC SBDを採用した効果で電力損失を24%減らせるという。

車載充電器に搭載した際の電力損失を比較
(出所:ローム)
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 さらにSiC SBDを内蔵したことで、IGBTを使っても高いスイッチング周波数で駆動できるようになる。車載充電器のスイッチング周波数が20k〜100kHzの範囲において、97%を超える変換効率が得られるためだ。100kHzのスイッチング周波数では、従来のIGBTと比較すると変換効率を約3ポイント、SJ型パワーMOSFETと比べると約0.8ポイント高められるとする。

車載充電器に搭載した際の変換効率を比較
(出所:ローム)
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 最大コレクター電流の違いで3製品を用意した。最大30Aの「RGW60TS65CHR」と、最大40Aの「RGW80TS65CHR」、最大50Aの「RGW00TS65CHR」である。IGBTのコレクター-エミッター間飽和電圧(VCE(sat))は、3製品いずれも+1.5V(標準値)。パッケージは、挿入実装型のTO-247N。現在サンプル出荷中である。サンプル価格は1320円(税込み)。量産は2021年12月に月産2万個の規模で開始する予定。

 このほか、表面実装が可能なTO-263L(LPDL)パッケージに封止した製品を開発中である。新製品と開発品の主な仕様は下表の通り。

新製品と開発品の主な仕様
(出所:ローム)
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