伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、低温多結晶酸化物(LTPO:Low Temperature Polycrystalline Oxide)技術を採用する有機ELパネルに向けたタッチ制御(タッチコントローラー)ICを発売した ニュースリリース 。応用先は、画面寸法が5.5〜7インチのLTPO有機ELパネルを搭載したスマートフォンである。

LTPO技術を採用する有機ELパネル向けタッチ制御IC
LTPO技術を採用する有機ELパネル向けタッチ制御IC
(出所:STMicroelectronics)
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 LTPO有機ELパネルの特徴は、広い範囲のリフレッシュレート(フレーム速度)での動作が可能なこと。動画やゲーム画面などを表示する場合は高いリフレッシュレートで、画面の変化が少ない場合は低いリフレッシュレートで駆動することで、高画質化と低消費電力化を両立できる。今回の新製品は、このLTPO有機ELパネルのリフレッシュレートに同期させて、スマホユーザーのパネルへのタッチを検出できる。同社によると、「LTPO有機ELパネルは、既存の有機ELパネルと比べるとノイズの発生量が多く、タッチ検出時のSN比を低下させるという問題があった。新製品を使えば、変化するリフレッシュレートと同期させて検出できるため、ノイズの影響を軽減してタッチの検出精度を高められる」という。

 LTPO有機ELパネルが広い範囲のリフレッシュレートで動作可能な理由は以下の通り。このパネルでは、低温多結晶Si TFTと酸化物半導体TFTの両方をガラス基板(バックプレーン)に作り込み、この2つのTFTを使って有機ELパネルを駆動する。低温多結晶Si TFTは、高いリフレッシュレートの駆動に、酸化物半導体TFTは低いリフレッシュレートの駆動に適している。このため、この2つのTFT を使い分けることで、広い範囲のリフレッシュレートでの動作が可能になる。

 新製品の型番は「FTG2-SLP」。同期可能なリフレッシュレートの範囲は1〜120Hzである。静電容量方式を採用しており、最大10カ所のタッチを同時に検出できる。

 新製品には、英Arm(アーム)のCPUコア「Cortex-M4」や、タッチ検出用アナログ・フロント・エンド(AFE)回路、192Kバイトのフラッシュメモリー、128KバイトのSRAM、I2C/SPIインターフェース回路などを集積した。電源電圧は+3.3Vと+1.8V。パッケージは、4.2mm×7.0mm×0.5mmの87端子XFBGAである。すでに量産を始めている。1000個購入時の参考単価は2.2米ドルである。