伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、電気自動車(EV)/ハイブリッド車(HEV)の車載充電器(オン・ボード・チャージャー)やトラクションドライバーに向けて、絶縁タイプの降圧(バック)型DC-DCコンバーターICを発売した。このICを使えば、1つの非絶縁出力と、1つ以上の絶縁出力の両方が得られる。これまでは、非絶縁出力用と非絶縁用それぞれに降圧型DC-DCコンバーターICを用意する必要があった。

 「1つのDC-DCコンバーターICで非絶縁出力と絶縁出力が得られるため、部品(BOM)コストを大幅に削減できる」(同社)。新製品は、SiCパワーMOSFETやIGBTのゲート駆動回路のほか、RS-232やI2C、SPIといったインターフェースへの電力供給などで使う。なお、新製品で絶縁出力を得るには、トランスを外付けする必要がある。トランスの2次側巻線が1個だけなら絶縁出力は1つだけだが、2次巻線を複数個用意すれば複数の絶縁出力が得られる。絶縁出力の電圧値はトランスの1次巻線と2次巻線の比(いわゆる巻線比)としてユーザーが設定できる。最大出力電力は全出力合計で5Wである。

新製品の応用イメージ
車載充電器(オン・ボード・チャージャー)に使った場合。(出所:STMicroelectronics)
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 新製品の型番は「A6986I」。車載用半導体ICの品質規格「AEC-Q100グレード1」に準拠する。フィードバックループの制御方式はピーク電流モードである。同期整流方式を採用しており、ハイサイドとローサイドのスイッチング素子はどちらも集積した。ハイサイドのオン抵抗は180mΩ、ローサイドは150mΩである。入力電圧範囲は+4〜38Vと広い。このため「コールドクランクやロードダンプによって車載バッテリーの出力電圧が一時的に低下しても動作し続けられる」(同社)。スイッチング周波数は250k〜1MHzの範囲で、ユーザーが外付け抵抗を使って設定できる。強制PWMモードで動作する。すなわち通常負荷時も軽負荷時のPWMモードで動く。パッケージは16端子HTSSOP。動作温度範囲は−40〜+150℃である。

新製品を使った回路構成例
非絶縁出力と絶縁出力がどちらも1つずつの場合の回路構成である。(出所:STMicroelectronics)
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 このほか、産業機器に向けた絶縁タイプの降圧型DC-DCコンバーターIC「L6986I」を併せて発売した。車載用半導体ICの品質規格には準拠していないが、基本的な性能やパッケージなどはA6986Iと同じである。モーター駆動機器や太陽光発電システム、無停電電源装置(UPS)、溶接機などに向ける。

 2製品どちらも、すでに量産を始めている。1000個購入時の参考単価は、A6986Iが1.87米ドル、L6986Iが1.00米ドルである。評価ボードを用意した。+18Vと−4.5Vの絶縁出力が得られる「STEVAL-A6986IV1」と、+5Vの絶縁出力が得られる「STEVAL-A6986IV2」である。評価ボードの価格は明らかにしていない。