コグネックス(東京・文京)は2021年7月28日、生産ラインでの画像検査などに用いる画像処理ソフト「VisionPro」の新バージョン「VisionPro 10.0」を発売した(図1)。新バージョンでは動作スピードの向上と、機械学習による画像処理機能の強化を図った。検査システムを構成する際、機械学習を応用した新しい画像処理機能により画像中の紛らわしい要素から必要なものを選別し、計測・変換・フィルター・画像演算といった従来の画像処理機能で詳細に分析する、といった新旧機能の組み合わせが容易になる。

図1 画像処理ソフト「VisionPro 10.0」
図1 画像処理ソフト「VisionPro 10.0」
(出所:コグネックス)
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 動作スピードの向上のため、ソフトのアーキテクチャーを変更した。従来バージョンまではWindows上のアプリケーション開発・実行環境「.NET Framework」(米Microsoft)を利用して稼働していたが、新バージョンではオープンソースの「.NET Core」(同)に対応した。

 さらに、プログラミングによっては.NET Coreなしでの動作も可能にした。.NET Coreなどのアプリケーション実行環境には、VisionProのようなアプリケーションに対してメモリー領域を提供したり、不要になった領域を引き取ったりするメモリー管理のサービスがある。メモリー管理サービスは、不要になったメモリー領域を集めて再利用しやすくするガベージ・コレクション(ちり集め)動作を伴い、これがアプリケーションの管理外のタイミングで生じる。コンピューターにかかる負荷が不意に重くなって処理時間が延び、所定時間内に検査処理が終わらなくなる可能性があった。VisionProの新バージョンでは、メモリーを自前で管理する機能により、処理時間が不意に伸びないようなプログラムを作成可能にするなどの改良を加えた。

 機械学習を応用した画像処理機能は従来バージョンにもあったが、新バージョンでは簡易な操作で画像処理プログラムを作成できるビジュアル・プログラミングツール「QuickBuild」から呼び出せるようにした。画像内の直線を機械学習によって認識する「SmartLine」機能などをQuickBuildで利用可能な形で用意。通常の画像処理機能と組み合わせた画像処理プログラムを作成しやすくした。

 例えば、スマートフォン生産ラインの検査工程で、表面に張ったフィルムの端、ハウジングの端などさまざまな直線が見える場合、何の線かを機械学習によって判別する(図2)。SmartLine機能は基本的な学習は終えているが、ユーザーの画像処理に合わせて追加学習させるとよいという。

図2 「SmartLine」による直線の分類
図2 「SmartLine」による直線の分類
同じ直線状に見えるフィルムの端、ハウジングの端などを区別する。(出所:コグネックス)
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