オランダNexperia(ネクスペリア)は、特定用途に向けたMOSFET(同社はApplication Specific MOSFET(ASFET)と呼ぶ)の新製品を2つ発表した。新製品は同社従来品に比べて、安全動作領域(SOA:Safe Operating Area)を166%広げたことが特徴である。ホットスワップ(活線挿抜)やソフトスタートによって発生した過大な電流(突入電流)から、後段の電子回路を保護するために使う。応用先は、5G通信システムや48Vサーバー、産業機器などである。

SOA(安全動作領域)を166%広げたパワーMOSFET
(出所:Nexperia)
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 ASFETでは、狙ったアプリケーションに最適化するため、特定のパラメーターを重視する。場合によっては、重要性の低い他のパラメーターを犠牲にし、汎用的な製品では難しかった性能を達成するという。新製品はホットスワップ向けASFETであり、パワーMOSFETの素子構造を工夫し、Cuクリップを使うパッケージに収めることで、SOAを大幅に拡大したという。さらに、新製品では、+125℃におけるSOAをデータシートで規定したことも特徴である。「このため高温動作時に対する温度ディレーティング作業が不要になり、設計に費やす時間を短縮できる」(同社)という。

 発売した2製品は、+80V耐圧の「PSMN4R2-80YSE」と、+100V耐圧の「PSMN4R8-100YSE」である。どちらもnチャネル品である。最大ドレイン電流は+80V品が170A、+100V耐圧品が120A。オン抵抗は+80V耐圧品が4.2mΩ(ゲート-ソース間電圧が+10Vのときの最大値)、+100V耐圧品が4.8mΩ(同)とどちらも低い。このため通常動作時(オン時)の導通損失を抑えられる。

 パッケージは、外形寸法が5mm×6mm×1mm(端子部を含む)と小さい4端子LFPAK56Eである。「当社従来のD2PAK封止品と比べると、プリント基板上の実装面積を80%、実装高さを75%削減できる」(同社)。動作接合部温度範囲は−55〜+175℃。量産は、英国マンチェスターに新設した8インチウエハー処理工場で行う予定である。2製品どちらも、価格は明らかにしていない。

新製品のSOA
黒色の実線が+25℃におけるSOA、赤色の点線が+125℃におけるSOAである。(出所:Nexperia)
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