ザインエレクトロニクスは、4K解像度で30フレーム/秒(fps)の映像信号を非圧縮で出力できる、産業用カメラ向け開発キット「THSCM101」を発売した ニュースリリース 。同社が2021年6月に発売の産業カメラ向け開発キット「THSCU101」では、実効的なデータ伝送速度が遅いため、4K30fpsの映像信号を非圧縮出力できなかった。今回、これを改善した。工場/倉庫/店舗などの監視カメラや、メンテナンス向け産業用AR(拡張現実)カメラ、医療手術用カメラ、教育用カメラなどのPoC(Proof of Concept)に向ける。

新製品の産業用カメラ開発キット
新製品の産業用カメラ開発キット
下方の緑色の基板は、伝送先のシングル・ボード・コンピューターであり、新製品には含まれない。(出所:ザインエレクトロニクス)
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 21年6月発売のTHSCU101は、USBインターフェースを介して映像信号を伝送する規格「UVC(USB Video Class)」に準拠したいわゆる「UVCカメラ」である*。UVCカメラで採用のUSB 3.2のデータ伝送速度は最大10Gビット/秒と高い。しかし、「実効的なデータ伝送速度はその1/3程度しか得られないため、4K、30fpsの映像信号を非圧縮では伝送できず、JPEG形式に圧縮して送っていた。一般的なPCのCPUではJPEGのデコード処理をリアルタイムで実行できず、コマ落ちが発生していた」(同社)。今回は次のようにして、必要なデータ転送速度を確保し、コマ落ちのない映像表示を可能にした。

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 新製品のTHSCM101は、CMOSイメージセンサーや画像処理プロセッサー(ISP)などを搭載したボードと、長さが23cmのmini-SASケーブルからなる。ISPは、非圧縮のYUV422形式の映像信号をMIPI CSI-2形式に変換して出力する。これをそのまま、mini-SASケーブルを介して、シングル・ボード・コンピューターに送る。MIPI CSI-2は4レーン構成で、1レーン当たりのデータ伝送速度は1.2Gビット/秒。4レーン合計では4.8Gビット/秒になる。これは4K、30fpsの映像信号伝送に求められる4.75Gビット/秒を上回るため、非圧縮伝送が可能である。なお、伝送先として使用できるのは、オランダNXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)のアプリケーションプロセッサーSoC「i.MX 8M/i.MX 8M Mini」を搭載したシングル・ボード・コンピューターに限られる。OSはLinux OSを使う。

 新製品を使えば、画質を高めた産業カメラを開発できる。しかし、一般的なPCに接続すれば簡単に使えた既存のTHSCU101とは異なり、今回の開発キットはドライバーソフトウエアを、特定のシングル・ボード・コンピューターに載せたSoCに実装する作業などが必要になる。この点については、「クイック・スタート・ガイドを用意しており、これに示した手順通り作業すれば、撮影した映像を簡単に表示できるようになる」(同社)と説明している。

 非圧縮表示のほかに、新製品はオートフォーカス機能にも特徴がある。一般的なコントラスト方式に加えて、位相差検出方式(PDAF:Phase Detection Auto Focus)を採用したことである。PDAFは、コントラスト方式に比べて短時間でピントを合わせられるため、高い画質化が得られる。同社によると、「4K、30fps映像の非圧縮伝送が可能で、PDAFを採用した高画質の産業カメラ向け開発キットの製品化は業界初」という。

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