リコーとDNAチップ研究所は共同で、肺がんの遺伝子検査に利用するDNA標準プレート「RICOH Standard DNA Series EGFR mutation Type001」を開発し、2020年8月20日に発売した。血液に含まれる少量のがん細胞由来DNAを検出する遺伝子検査の精度を高めるのに役立つという。医療機関や検査センター、研究機関での検査の評価に利用してもらう。「全くの新しい製品なので予測は難しいが、4年後に約1億円の売り上げを目指す」とリコーHC事業本部本部長の源間信弘氏は話す。

RICOH Standard DNA Series EGFR mutation Type001
(出所:リコー)
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 血液中に含まれるがん細胞由来のDNAはごくわずかで、遺伝子変異の検査の正確性や再現性を担保するのは難しいとされる。DNAの含有量が分かっている測定の基準となる物質(標準物質)があれば、事前に正確に検査できるかを確かめられる。しかし手作業で希釈するとばらつきが生じやすく、ごく少量のがん細胞由来DNAに適した低濃度の標準物質を用意するのは簡単ではなかった。

 リコーは2018年に、農業・食品産業技術総合研究機構やファスマックと共同で、バイオプリンティング技術を用いてDNAを1分子単位で厳密に制御し分注する方法を開発している。あらかじめ細胞内に1分子のDNAを導入しておき、その細胞数を制御することで間接的にDNAの分子数を把握する方法である。この方法を用いて、EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異に対応した標準物質「RICOH Standard DNA Series EGFR mutation Type001」を開発した。

バイオプリンティング技術を応用して製造
(出所:リコー)
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 EGFR遺伝子変異は肺がん患者の約30%で見つかるとされ、肺がん患者の変異としては最も頻度が高い。EGFR遺伝子変異の種類によって効果のある医薬品が異なるため、治療方針を決める目的で遺伝子変異を検出する検査が実施される。一般的に患者のがん組織を直接採取して検査が実施されるが、近年、血中に遊離する少量のがん由来のDNAを解析する研究開発が盛んだ。DNAチップ研究所は2020年7月、血中や組織から2つのEGFR遺伝子変異を検出し、適した医薬品を判定する支援を行う疾病診断用プログラム「EGFRリキッド遺伝子解析ソフトウエア」の承認を取得した。