村田製作所は、車載PoC(Power over Coax)に向けた小型インダクターを発売した。PoCは、カメラで撮影した映像信号と電源を1本の同軸ケーブル(Coax)に重畳して伝送するためのインターフェース規格。新製品は、映像信号(交流成分)と電源(直流成分)を分離し、両者の相互干渉を防ぐ用途で使う。いわゆる「Bias Tee(Bias-T)回路」向けである。

 特徴は、インダクタンス値が22μH、定格電流が700mAとどちらも大きいにもかかわらず、実装面積が4.5mm×3.2mm(いわゆる4532サイズ)と小さいことにある。同社は、「22μH、700mAを同時に実現した車載用PoC向けインダクターでは業界最小の寸法」という。車載受動部品の品質規格である「AEC-Q200」に準拠する。車載カメラやADAS機器への搭載を狙う。

車載PoCに向けた小型インダクター
(出所:村田製作所)
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 新製品は巻線型である。磁性体にはフェライト材料を使う。シリーズ名は「LQW43FT_0Hシリーズ」。インダクタンス値(1MHzにおける値)や定格電流が異なる3製品を用意した。22μH、700mAの「LQW43FT220M0H」と、18μH、800mAの「LQW43FT180M0H」、10μH、1Aの「LQW43FT100M0H」である。「いずれの製品もセラミック材料やコイル構造を工夫することで、広い周波数帯域にわたって高いインダクタンス値を得た。これで、Bias-T回路を構成する際に組み合わせるインダクターの個数を削減できる」(同社)。

新製品のインダクタンス(インピーダンス)特性
一般的なインダクターに比べると、広い周波数帯域で高いインダクタンス(インピーダンス)が得られる。(出所:村田製作所)
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 発売した3製品の主な特性は下表の通りである。3製品いずれも、量産は21年9月に始める予定。価格は明らかにしていない。

新製品の主な特性
(出所:村田製作所)
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