伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、GaNモジュールの新製品を2つ発売した。どちらも同社のGaNモジュールファミリー「MasterGaN」に含まれる製品である。今回の新製品発売により、予定していた同ファミリーの5製品が出そろった。ファミリー全体で、出力電力が約45〜400Wの電源回路に対応できる。

MasterGaNファミリーは5製品からなる
ファミリー製品全体で45~400Wの電源回路をカバーする。(出所:STMicroelectronics)
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 MasterGaNファミリー製品はいずれも、2個のGaNトランジスタで構成したハーフブリッジ回路と、それらを駆動するSiゲート・ドライバー・チップを1パッケージに収めたSiP(System in Package)である。第1弾の「MasterGaN1」*1を20年9月に、第2弾の「MasterGaN2」*2を21年1月に、第3弾の「MasterGaN4」*3を21年4月にそれぞれ発売している。

 今回発売した新製品は、「MasterGaN3」と「MasterGaN5」である。前者は最大45W出力の電源回路に向けた製品で、急速充電器やワイヤレス充電器、ACアダプターなどを狙う。後者は最大150W出力の電源回路に向けた製品で、ACアダプターやLED照明などを狙っている。MasterGaN3とMasterGaN5に搭載した2個のGaNトランジスタはどちらも、ノーマリーオフのエンハンストモードGaN HEMTである。耐圧は+650V。

MasterGaNファミリーに含まれる各製品の主な応用先
(出所:STMicroelectronics)
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 MasterGaN3は、オン抵抗が450mΩ(標準値)のハイサイドスイッチと225mΩ(標準値)のローサイドスイッチで構成した非対称型ハーフブリッジ回路と、Siゲート・ドライバー・チップを1パッケージに収めた。最大ドレイン電流はハイサイドスイッチが4A、ローサイドスイッチが6.5A。全ゲート電荷量はハイサイドスイッチが0.8nC(標準値)、ローサイドスイッチが1.5nC(標準値)である。最適な電源回路トポロジーには、ソフトスイッチング方式を採用したDC-DCコンバーターや、アクティブ整流コンバーターなどを挙げている。

 MasterGaN5は、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチどちらもオン抵抗が450mΩ(標準値)の対称型ハーフブリッジ回路とSiゲート・ドライバー・チップを1パッケージに収めた。最大ドレイン電流はハイサイドスイッチとローサイドスイッチどちらも4A。全ゲート電荷量はどちらも0.8nC(標準値)。最適な電源回路トポロジーは、LLC共振コンバーターやアクティブクランプ方式を採用したフライバックコンバーターなどである。

 2製品どちらもパッケージは、外形寸法が9mm×9mm×1mmの31端子GQFN。動作温度範囲は−40〜+125℃である。すでに量産を始めている。1000個購入時の参考単価は、MasterGaN3が約6.08米ドル、MasterGaN5が約5.77米ドルである。発売した2製品それぞれに向けた開発ボードを用意している。MasterGaN3向けの「EVALMASTERGAN3」とMasterGaN5向けの「EVALMASTERGAN5」である。開発ボードの価格は明らかにしていない。