大日本印刷(DNP)は2021年8月31日、5Gミリ波を任意の方向に反射することでミリ波の到達エリアを広げる電波反射板(リフレクトアレイ)を開発したと発表した。一般の金属反射板より的確にミリ波を反射することができ、建物の陰など電波の届きにくい場所の通信環境を改善する。意匠性にも優れ、設置する環境を考慮したデザイン変更も可能という。

5Gミリ波の到達エリアを拡大するリフレクトアレイ
5Gミリ波の到達エリアを拡大するリフレクトアレイ
出所:DNP
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関連ニュースリリース: 5Gの電波の到達エリアを拡げる電波反射板を開発

 5G高速大容量通信に向けて活用が進むミリ波周波数帯の電波には、直進性が強く到達距離が短いという特徴がある。そのため、建物の陰などのエリアでは電波が届きづらく、通信品質を確保しにくい。この課題解決に向けては、基地局や中継局を増設する方法もあるが、設置場所の確保が難しく、多額の費用も発生する。

 そこでDNPでは、所定の周波数帯を選択的に反射し、それ以外を透過する「周波数選択反射層」と、入反射する電波の方向を決める特殊な誘電体層「反射方向制御層」、これら2層を保護するデザインカバーから成るリフレクトアレイを開発した。電源も不要で、さまざまな場所に容易に設置でき、5G通信環境の大幅改善を低コストで実現する。デザインカバーは、建装材として必要な耐久性を持ち、各種デザインにも対応可能となっている。

リフレクトアレイの構成
リフレクトアレイの構成
出所:DNP
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 電波を鏡のように反射する金属反射板と違い、特定周波数の電波を非対称に反射させることができることから、基地局から受ける電波の入射角、電波を届ける反射角、反射波の広がり方などを自由に設定できる。より広いエリアに反射波を届ける、特定装置に反射波を集めるといった調整も可能となる。対象周波数帯以外の電波は透過させるため、既存電波への影響も最小限に抑えられるという。

反射波の広がり方の調整も可能
反射波の広がり方の調整も可能
出所:DNP
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 DNPでは、本製品の2023年度からの実用化を目指す。今後は、反射方向が固定される現在のものに加え、反射方向を固定しないタイプの開発も進め、5G普及とスマートファクトリー、スマートシティー実現などに向けて活用の場を増やしていくとしている。