伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、ゲート駆動能力が高いGaN FET(GaN HEMT)向けゲートドライバーICを発売した。新製品のゲート駆動能力は、ソース(吐き出し)時に5.5A、シンク(吸い込み)時に6Aである。「競合他社品では、ゲート駆動能力がソース/シンク時どちらも1A程度だった。新製品は、業界最高のゲート駆動能力を実現した」(同社)。応用先は、家電機器やFA機器、産業用モーター駆動機器、DC-DCコンバーター装置、太陽光発電システム用インバーター装置、無停電電源装置(UPS)などである。

GaN FETの駆動能力が高いハーフブリッジ構成のゲートドライバーIC
(出所:STMicroelectronics)
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 ゲート駆動能力が高いゲートドライバーICを使うと、GaN FETの動作を高速化できる。同じゲート容量のGaN FETを駆動し、ゲートドライバーICとGaN FETを接続する配線の寄生インダクタンスも同じだとすれば、新製品を使うことで、競合他社品を使う場合に比べてスイッチング波形の立ち上がり/立ち下がり時間を約1/5に短縮できる。

 さらに新製品には、ゲート駆動能力が高いことに加えて、次のような2つの特徴がある。1つは、ブートストラップダイオードを集積したこと。このため、ハイサイド側のGaN FETの駆動に必要な電源を外付けで用意する必要がない。もう1つは、最大+21Vの制御ロジック信号の入力が可能なことである。マイコンやDSPなどが出力する+3.3Vの制御ロジック信号のほか、アナログ電源制御ICが出力する+12Vなどの制御ロジック信号を入力できる。「競合他社品は、制御ロジック入力信号の最大電圧が+5Vのものが多く、高電圧の制御ロジック信号を入力する場合は、レベルシフトICを外付けする必要があった」(同社)。

 新製品の型番は「STDRIVEG600」で、ハイサイドとローサイドのGaN FETの駆動に向けたハーフブリッジ構成のゲートドライバー回路を1チップに集積している。ハイサイド用ゲート駆動回路の耐圧は+600V。このため+500V程度の電源バスに適用できる。入力と出力の間の伝搬遅延時間は、ハイサイドとローサイドどちらも45ns(標準値)と短い。駆動信号の立ち上がり時間は7ns(標準値)で、立ち下がり時間は5ns(標準値)。入力電圧の急峻な変化(dV/dt)に対する耐性は±200V/nsを確保した。

 ターンオン端子とターンオフ端子は別々に用意した。ケルビンソース端子を備えたGaN FETの駆動も可能である。保護機能として、ハイサイドとローサイドの両方に低電圧ロックアウト(UVLO)機能やインターロックによる貫通電流保護機能、過熱保護機能などを用意した。なお新製品はGaN FETのほか、Si製のnチャネル型パワーMOSFETの駆動にも使えるという。

 今回の新製品は現在、量産中である。パッケージは16端子SOP。1000個購入時の参考単価は1.07米ドルである。