韓国サムスン電子(Samsung Electronics)は、5G対応モデムを内蔵したスマートフォン/タブレット端末向けSoCとして「Exynos 980」を発表した(ニュースリリース)。同社はスマートフォン/タブレット端末向けSoCとして「Exynos」を以前から開発・提供しているが、5G対応モデムを内蔵したExynosは今回が初めてである。

 Exynos 980は8nmプロセスで製造する。このプロセスでは、EUVは使われない。同社はEUVを使う7nmプロセスで製造する「Exynos 9825」の製品仕様を2019年8月に公開している(関連記事1)。Exynos 9825は、8nmプロセスで製造する「Exynos 9820」の7nm版で、集積する回路ブロック(コア)は基本的に同じ。例えば、CPUは8コア構成で、独自コアが2個、Arm Cortex-A75が2個、Cortex-A55が4個からなる(関連記事2)。

 一方、今回発表のExynos 980は同じく8コア構成だが、Cortex-A77(2.2GHz動作)が2個とCortex-A55(1.8GHz動作)が6個からなる。Cortex-A77は2019年6月に発表した、最新かつ最上位のCortex-Aコアである(関連記事3)。Exynos 980はサムスンの既存製品だけでなく、中国ファーウェイ(Huawei Technologies)がIFA 2019で発表したSoC「Kirin 990/990 5G」(関連記事4)よりも上位のCPUコアを集積している。なお、Kirin 990/990 5GはEUV利用の7nmプロセスで製造される。

 Exynos 980では8個のCPUコアに加えて、GPUとして5コアのArm Mali-G76やニューラルネットワーク処理コア(NPU:Neural Processing Unit)、ISP(Image Signal Processor)なども集積する。NPUは従来比2.7倍の処理性能で、ユーザー認証やコンテンツフィルタリング、MR(Mixed Reality)、インテリジェントカメラなどに利用可能とされる。ISPは最大108M画素までのカメラを扱える。このISPは最大で5つのセンサーに対応し、同時に3つの処理を行うことが可能という。

 さらに、Exynos 980は最大で4K UHDビデオを120フレーム/秒で扱えるマルチフォーマットのコーデックを集積し、HDR10+にも対応している。集積したモデムは2Gから5Gまでに対応可能で、5Gのサブ6GHz帯で最大2.55Gビット/秒のダウンリンク速度が得られるという。このモデムは、EN-DC(E-UTRA-NR Dual Connectivity)に対応しており、2CC(Component Carrier) LTEと5Gを結合することで、ダウンリンク速度は最大3.55Gビット/秒になるとする。またWi-Fiは、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)にも対応している。

 Exynos 980は2019年末に量産開始の予定。