米Texas Instruments(TI)は、同社の半導体製品を使って組んだ回路の検証に向けた回路シミュレーター「PSpice for TI」を発表した(ニュースリリース)。同社の顧客サポート向けWebページから無償でダウンロードし、顧客の手元のパソコン(PC)で利用できる。

PSpice for TIの主な特徴
TIのスライド
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 日本の報道機関向けのオンライン会見に登壇したTIのJohn Caldwell氏(サイトリーダー兼ビジネス・ユニット・ゼネラル・マネージャリニア・アンプ部門)によれば、「設計した回路を回路シミュレーションで検証する技術は確立して久しいが、最近、回路シミュレーションを使いたいという要望が我々の顧客の間で高まっている。回路シミュレーションを使えば、回路の試作前に検証することが可能になり、試作のやり直しを防ぐことができる」(同氏)という。そこで、今回、ユーザーが多い米Cadence Design Systemsの回路シミュレーター「PSpice」をTI仕様にカスタマイズし、PSpice for TIとして顧客が無料で使えるようにした。

 PSpice for TIにはTI製品のシミュレーションモデルが5700種以上備わっており、TI製品を使った回路の検証に幅広く適用できるという。「新製品が出るとそのモデルはすぐにPSpice for TIに組み込まれる、顧客は手作業で新製品のモデルを組み込む必要はない。新製品を使った回路がすぐに検証できる」(Caldwell氏)。PSpice for TIではシミュレーション対象の回路規模に制限はない。また、モンテカルロ解析やワーストケース解析などの解析機能が豊富で、幅広い動作条件にわたって設計を検証できるという。なお、モデルのインポート機能を使えば、TI以外の半導体メーカーの製品を含めた回路のシミュレーションも可能とのことだ。

 オンライン会見には、CadenceのKishore Karnane氏(OrCADファミリーおよびチャネル・パートナー・ビジネス開発製品管理ディレクター)も登壇し、Cadenceの商用(製品として販売している)PSpiceと、今回のPSpice for TIの違いなどを説明した。例えば、「PSpice for TIは基本的にTI製品のモデルを備えるのに対して、商用PSpiceには複数のメーカーの3万4000を超える製品のモデルが用意されている」(同氏)。C言語モデルやMATLAB/Simulinkモデルなどシステムレベルの検証に使うモデルを扱えるのは、今のところ、商用PSpiceのみ。また、商用PSpiceおよびPSpice for TIでシミュレーションした回路データ(ネットリスト)を、レイアウト設計用EDAへ引き渡すには、商用PSpiceが必要になる。

 会見の後半では、TIのIan Williams氏(リニア・パワー低電圧LDO部門ビジネスリード)がPSpice for TIのデモンストレーションを見せた。PSpice for TIは現時点でダウンロード可能な状態にある。

オンライン会見の様子
PSpice for TIを使ってのデモンストレーションを行っているところ。上部の3名は、左からTIのIan Williams氏(デモンストレーション担当)、CadenceのKishore Karnane氏、TIのJohn Caldwell氏(プレゼンテーション担当)。(出所:会見画面をキャプチャー)
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