日本電波工業は、位相雑音が−168dBc/Hz(100kHzオフセット時)と低い温度補償回路付き水晶発振器(TCXO)「NT1612AJA」を開発し、2019年10月にサンプル出荷を始めた(ニュースリリース)。同社によると、「業界で最も低い位相雑音を達成した。従来品に比べると12dBc/Hz低減した」という。さらに位相ジッターも低減した。新製品の位相ジッターは68fs(12k〜5MHz)で、従来品に比べると76%削減したという。パッケージの外形寸法は1.6mm×1.2mm×0.45mmと小さい。いわゆる「1612サイズ品」である。表面実装に対応する。

発売した温度補償回路付き水晶発振器の位相雑音特性。日本電波工業のデータ
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 第5世代(5G)の移動通信システムやWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、SONET/SDHなどに対応した通信機器に向ける。「今後、こうした通信機器では、高速化や大容量化の実現に向けて多値変調などが導入されるため、さらなる通信品質の向上が求められるだろう。そこで、さらなる低位相雑音特性を持つ小型TCXOに対する要望が増えると考えて、今回の新製品を開発した」(同社)という。Q値が高い人工水晶の開発や、水晶振動子設計の最適化、発振回路の低雑音化、小型TCXO向け製造ラインの構築などで位相雑音の低減を実現したとする。

 周波数範囲は26M〜56MHz。標準品として26MHz出力品と、52MHz出力品を用意した。周波数温度特性は±0.5ppm(最大値)。長期の周波数安定度は、1年間に±1.0ppm(最大値)。出力電圧は0.8Vpp(最小値)。電源電圧は+1.8V±5%。消費電流は、26MHz出力品のイネーブル時に2.5mA(最大値)、ディセーブル時に4μA(最大値)。動作温度範囲は−30〜+85℃である。量産は2020年3月に始める予定。価格は明らかにしていない。