パナソニックは、茶筒の老舗である開化堂(本社京都市)と協力して開発したワイヤレススピーカー「響筒」(きょうづつ)を2019年11月8日に発売する(図1、ニュースリリース)。開化堂が製作した真鍮製の茶筒に、パナソニックが開発したスピーカーを搭載した。茶筒の蓋を開けると起動して、搭載したスピーカーから音が出る仕組みになっている。伝統工芸の視点を取り込んで新しい家電を研究するパナソニックのプロジェクト「Kyoto KADEN Lab.」(京都家電ラボ)で開発した(関連記事)。

図1:茶筒型のワイヤレススピーカー「響筒」
「五感や記憶に響く体験価値」をコンセプトに、耳で聞くだけでなく音の響きを手のひらで感じられるようにした。(出所:パナソニック)
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 響筒の開発に当たって開化堂は、板厚をスピーカー専用に設計して茶筒を作った。一方のパナソニックは、オーディオ分野で培ったデジタル技術を生かして響き方と音作りを工夫し、低音から高音までの広い音域で「自然な、聴きやすく優しい音」(パナソニック)を再生できるスピーカーを製作。サイズを0.01mm単位で調整して茶筒に固定した。これによって「不要な音を発生させることなく心地よい音の響きを手のひらに伝える構造」(同社)を実現したという。

 開化堂の茶筒の特徴である高い密閉性によって、響筒の蓋を開けると「茶葉の香りが広がるように」(同社)音が立ち上がる。閉じる際には、蓋と胴体の継ぎ目を合わせると蓋が重力に従ってゆっくりと落ち、音がフェードアウトしていく。本体にはオリジナルの音源をあらかじめインストールして、開封後に電源を入れ、初めて蓋を開けたときから音楽を楽しめるようにした。Bluetoothモードに切り替えれば、Bluetooth Ver4.2対応の機器が出力した音楽をワイヤレスで聞ける。

 茶筒の材料である真鍮は、経年変化で色が飴色になっていく(図2)。本体底面には皮革を取り付けており、その風合いの変化も楽しめるという。内蔵のニッケル水素電池で駆動し、充電には非接触給電方式を採用。これによってケーブルに接続するわずらわしさを取り除くと同時に、表面に接続端子のない外観を実現した(図3)。

図2:真鍮製の茶筒の経年変化イメージ
触れれば触れるほど濃い飴色に変化し、使い込むほどに愛着が増すという。(出所:パナソニック)
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図3:「響筒」本体(左)と充電台
充電台にも本体と同様、真鍮と本革を採用した。(出所:パナソニック)
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 外形寸法は、本体が直径80×高さ91.5mm、充電台が直径80×高さ13.5mm。質量はそれぞれ約500gと約110gとする。開化堂にて限定100台で販売し、価格は30万円(税別)。

 パナソニックは2015年から、「ElectronicsMeetsCrafts:」をコンセプトに掲げ、京都の伝統工芸後継者ユニット「Go On」と連携して京都家電ラボに取り組んでいる。同プロジェクトでは「食と音楽」をテーマに、響筒を含む10組のプロトタイプを製作。それらはイタリアのデザイン賞「Milano Design Award 2017」で「Best Storytelling賞」を、ドイツのデザイン賞「iF Design Awards2018」で「金賞」を受賞するなど、国内外で高い評価を得たという。製品化第1弾である響筒の他には、IHで温度を制御できる木製の燗徳利「燗酒器」(kan-shuki)、布に織り込まれた金・銀箔がセンサーとなって音を奏でる「織ノ響」(ori-no-hibiki)などを発表している。