整形外科領域などの医療機器を手掛けるスミス・アンド・ネフューは、人工膝関節の手術で使うロボット支援手術システム「CORI サージカルシステム」の販売を2021年10月に日本で始めた。2021年7月に薬事承認を取得したもので、高難度の手術である前十字靭帯を温存する人工膝関節置換術にも対応できる。年内に十数台、2022年以降は20台以上の販売を目指す。

「CORI サージカルシステム」で骨を削るイメージ
「CORI サージカルシステム」で骨を削るイメージ
(撮影:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 CORI サージカルシステムは赤外線カメラと骨を削るドリルなどから構成され、赤外線カメラが骨を削るドリルや人工関節の位置を計測し、モニターに3次元で骨の切除範囲などを示す。医師は切除範囲を確認しながら、ドリルで骨を削る。切除範囲外を削ろうとすると、ドリルの動きが止まる仕組みだ。人工関節を入れた際の膝の動きも術中にシミュレーションできるため、人工関節を挿入する際の微妙なバランスを調整できる。

 これまでもスミス・アンド・ネフューは人工関節の手術で利用する「NAVIOロボット支援手術システム」を販売してきた。今回のCORIはNAVIOの次世代機として開発され、骨を削るスピードが約30%向上した。手術時間の短縮につながるという。また、赤外線カメラの反応速度が向上したことで、より正確に骨を削るドリルを制御できるようになった。

 CORIを使うと非常に高い技術が必要とされる、前十字靭帯を温存する人工膝関節の手術にも対応できる。人工膝関節手術の中でも、変形した膝関節の表面を取り除いて人工膝関節に置き換える全置換術では、前十字靭帯を温存しないケースが多い。前十字靭帯がないと膝の安定性が低下するほか、脚の位置感覚を失いやすい。

 温存するには靱帯の弛緩(しかん)バランスを制御しながら、精密に骨を削ったり人工関節を挿入したりする必要があり、熟練の術者でも非常に高い技術が必要となる。これに対して、10月7日にスミス・アンド・ネフューが開催したプレスセミナーに登壇した東京大学医学部付属病院 整形外科 人工関節センター長の乾洋氏は「手術支援ロボットを使うことで術中の迷いがなくなり、手術時間が短くなる印象だ」と話した。