米Texas Instruments(TI)は、最長1.7kmのデータ伝送が可能なEthernet物理層(PHY)IC「DP83TD510E」を発売した(ニュースリリース)。IoT(Internet of Things)向け有線通信規格「IEEE 802.3cg(10BASE-T1L)」に準拠する。伝送媒体には、「シングルペアEthernetケーブル」を使う。これは1組(2芯)のより対線(ツイストペア)ケーブルである。一般的なLANケーブルは4組(8芯)のより対線ケーブルであり、これをシングルペアEthernetケーブルに置き換えることで線材が1/4に減るため、低コスト化や軽量化、ケーブルの取り回しの容易化などを実現できる。

最長1.7kmのデータ伝送が可能なEthernet物理層(PHY)ICの応用イメージ
1組(2芯)のより対線ケーブルでデータを伝送する。Texas Instrumentsのイメージ
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 新製品の最大データ伝送速度は10Mビット/秒(10Mbps)。IEEE 802.3cg(10BASE-T1L)規格で定める最長伝送距離は200mだが、「低ノイズのレシーバー回路アーキテクチャーを採用することで、最長伝送距離を1.7kmに延ばした」(同社)という。HVAC機器の制御やエレベーター/エスカレーターの制御、火災報知器の制御を担うビルオートメーション機器のほか、ファクトリーオートメーション(FA)機器や、工業用プロセス向けオートメーション機器などに向ける。

 トランスミッター回路とレシーバー回路、MII(Media Independent Interface)/RMII(Reduced MII)インターフェース回路、A-D変換器、D-A変換器、動作診断回路、LEDドライバー回路などを1チップに集積した。差動伝送信号の電圧振幅は、2.4Vppと1Vppの両方に対応する。最長伝送距離は、どちらの電圧振幅の場合でも1.7kmである。MAC層回路とのインターフェースには、MIIモードとRMIIマスター/スレーブモード、RGMII(Reduced Gigabit MII)モード、RMIIマスター・ロー・パワー5MHzモード、RMIIバック・ツー・パック・モードが使える。動作診断回路は、ケーブルのオープン(開放)とショート(短絡)の検出機能や、ケーブルの劣化度合いを測定するケーブルSQI(Signal Quality Indicator)機能などを備える。LEDドライバー回路の駆動電流は8mA(標準値)である。

 放射電磁雑音(EMI)の放射レベルに関する規制値「CISPR22」をクリアできるという。静電気放電(ESD)耐圧は、人体帯電モデル(HBM)で±6kVを確保した。電源電圧は+3.3V単一で動作する。消費電力は、電圧振幅が2.4Vppのときに99mW、1Vppのときに45mWとどちらも低い。パッケージは、実装面積が5mm×5mmの32端子QFN。動作温度範囲は−40~+105℃。1000個購入時の米国での参考単価は3.20米ドルである。評価モジュール「DP83TD510E-EVM」を用意している。参考価格は149米ドルである。