トーキンは、たわみクラックの発生を抑制できる積層セラミックコンデンサー「HV FT-CAP」に、車載対応品を追加した(ニュースリリース)。たわみクラックとは、積層セラミックコンデンサーでよく発生する故障である。プリント基板をカット(割板)したり、ビス止めしたり、落下させたりしたときなどに、プリント基板に実装した積層セラミックコンデンサーに大きな衝撃が加わる。これが原因で、積層セラミックコンデンサーの素体(誘電体材料部)にクラックができ、ショート(短絡)故障が発生してしまう。新製品では、Cu(銅)による外部電極と、Ni(ニッケル)によるバリアー層の間に、導電性Ag-エポキシ材料を挿入した。同社は、この構造の端子を「フレキシブル端子」と呼ぶ。この端子を採用することで、プリント基板で発生した衝撃が積層セラミックコンデンサーの素体に伝わることを抑制でき、たわみクラックの発生を減らせるという。屈曲性能は最大5mmである。

新製品の構造
今回挿入した導電性Ag-エポキシ材料は図中の「Epoxy Layer(Ag)」である。右上は断面図である。KEMETの資料
[画像のクリックで拡大表示]

 同社の親会社である米KEMET(ケメット)が開発した製品である。車載用受動部品の品質規格「AEC-Q200」に準拠する。採用した誘電体材料はCaZrO3(ジルコン酸カルシム)。温度特性はいわゆる「C0G特性」である。つまり、−55〜+125℃の使用温度範囲において、静電容量の温度係数は0±30ppm/℃と小さい。このためスナバー回路やLLC共振回路、ワイヤレス充電器などに向く。さらに、「高周波における等価直列抵抗(ESR)や等価直列インダクタンス(ESL)が低い」(同社)ため、SiC/GaNパワーデバイスを採用した高周波動作の電力変換回路にも使えるという。

 静電容量や直流(DC)定格電圧、外形寸法が異なる複数の製品を用意した。静電容量の範囲は1p~120nF。DC定格電圧の選択肢は+500Vと+630V、+1kV、+1.5kV、+2kV、+2.5kV、+3kVの7種類。外形寸法は、1.6mm×0.8mmと、2.0mm×1.25mm、3.3mm×1.6mm、3.3mm×2.6mm、4.7mm×2.0mm、4.5mm×3.2mm、4.6mm×6.4mm、5.9mm×5.0mm、5.9mm×6.4mmの9種類を用意した。すでに販売を始めている。価格は明らかにしていない。