ロームの子会社であるラピステクノロジーは、最大1Wの給電が可能なワイヤレス給電用チップセットを発売した ニュースリリース 。送電ICと受電ICから成る。特徴は、受電用基板の実装面積が230mm2と小さいことである。ウエアラブル機器などに向ける。具体的な応用先は、リストバンド型血圧計やスマートウォッチ、補聴器などである。

最大1Wの給電が可能なワイヤレス給電用チップセット
最大1Wの給電が可能なワイヤレス給電用チップセット
(出所:ローム)
[画像のクリックで拡大表示]

 現在、ワイヤレス給電ではQi(チー)規格が広く普及している。しかし同社によると、「Qi規格は給電電力量が最大15Wと大きいものの、アンテナや受電回路などを載せた受電用基板の実装面積が大きくなってしまい、ウエアラブル機器への搭載は困難だった」という。一方、新製品は「1W給電クラスでは、業界最小の実装面積である。例えば、0.5W給電クラスの競合他社品(一般品)と比較すると、新製品は給電量が2倍にもかかわらず、実装面積を約30%削減できる」(ローム)。受電ICに制御回路を集積してマイコンの外付けを不要にしたことに加えて、13.56MHzと高い給電周波数を採用してアンテナを小型化して実現した。

ワイヤレス給電技術を比較
ワイヤレス給電技術を比較
Qi規格と、競合他社品(一般品)、今回の新製品「ML766x」を比較した。Qi規格と比べると、最大給電量は少ないものの、受電用基板の実装面積(システムサイズ)は約65%削減できる。(出所:ローム)
[画像のクリックで拡大表示]
受電用基板の実装面積を比較
受電用基板の実装面積を比較
左は、競合他社品(一般品)の場合。右は、今回の新製品を使った場合。受電用基板の実装面積(システムサイズ)を約30%削減できると同時に、最大給電量を2倍に増やせる。(出所:ローム)
[画像のクリックで拡大表示]

 また、新製品の給電周波数は13.56MHzのため、近距離無線通信規格「NFC(Near Field Communication)」を使った非接触データ通信を利用できるという特徴がある。電動アシスト自転車(E-bike)の場合、電力を供給しながら、トルクセンサーで検出したデータを非接触で送信できる。「電力供給とデータ通信に有線を使うとデザイン性を損ねてしまう。新製品を使えば、有線が不要になり、デザイン性や設計自由度を高められる」(同社)。

 発売した送電ICの型番は「ML7661」、受電ICは「ML7660」である。送電ICには、送電制御回路やNFC通信制御回路、SPI/I2Cインターフェース、10ビットA-D変換器などを搭載。受電ICには、受電制御回路やNFC通信制御回路、SPI/I2Cインターフェース、496バイトのデータ用フラッシュメモリー、10ビットA-D変換器などを載せた。NFC通信のデータ伝送速度は212kビット/秒と424kビット/秒のどちらかを選択できる。送電ICのパッケージは、外形寸法が6.0mm×6.0mm×0.8mmの40端子WQFN。受電ICは、外形寸法が2.28mm×2.61mm×0.48mmの30端子WLCSPと、外形寸法が5.0mm×5.0mm×0.8mmの32端子WQFNを用意した。動作温度範囲はどちらも、−40〜+85℃。

 送電ICと受電ICどちらも、すでにサンプル出荷を始めている。量産は22年4月に月産10万個体制で開始する計画である。サンプル価格は、送電ICと受電ICどちらも550円(税込み)である。