ロームは、車載用バッテリーの出力を低電圧に変換する降圧型DC-DCコンバーターIC「BD9Pシリーズ」を発売した(ニュースリリース)。車載用バッテリーの出力電圧を+5.0や+3.3Vなどに降圧する、いわゆる「車載プライマリーDC-DCコンバーター」に向けた製品である。新製品の入力電圧範囲は+3.5〜40V。最大出力電流は2A、もしくは1Aである。この後段に「車載セカンダリーDC-DCコンバーター」を接続し+2.5Vや+1.8Vなどのさらに低い電圧に変換して、マイコンなどに供給する。新製品は車載用半導体ICの品質規格「AEC-Q100」に準拠する。ADAS(Advanced Driver Assistance System)関連機器や車載レーダー、車載インフォテインメント機器、インスツルメントクラスターなどに向ける。

車載用バッテリーの出力を低電圧に変換する降圧型DC-DCコンバーターIC
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 DC-DCコンバーターの制御方式には、同社独自の「Nano Pulse Control(ナノ・パルス・コントロール)技術」を採用した*。これで3つのメリットが得られたという。1つ目は、クランキング時などに発生するバッテリーの電圧変動に強いことである。一般的なDC-DCコンバーターICは、入力電圧(バッテリーの出力電圧)が設定した出力電圧よりも低い状態から変動前の高い電圧に復帰したときに、出力電圧に大きなオーバーシュートが発生するという問題を抱えていた。今回はナノ・パルス・コントロール技術を採用することで、「出力電圧のオーバーシュートを競合他社品の1/10以下に抑えた」(同社)という。このため、オーバーシュート対策で必要だった出力コンデンサーを省くことができる。

新製品は、出力電圧のオーバーシュートを競合他社品の1/10以下に抑えられる
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 2つ目は、高い降圧比が得られることである。ナノ・パルス・コントロール技術を使えば、最小パルス幅を9nsまで狭くできるとする。このため新製品では、スイッチング周波数をAMラジオの放送帯域に影響を与えない2.2MHzと高い値に設定したにもかかわらず、最大+40Vの入力電圧を+3.3Vや+5Vといった低い電圧に一気に降圧することが可能になった。

 3つ目は、広い負荷範囲にわたって高い変換効率が得られることである。ナノ・パルス・コントロール技術を実装した制御回路を工夫することで、高い変換効率を維持したとする。出力電流が1Aの高負荷時における変換効率は92%、出力電流が1mAの軽負荷時は85%が得られる。同社によると、「軽負荷時から高負荷時の広い負荷範囲にわたって、業界トップクラスの高効率特性を実現した」という。

 BD9Pシリーズは、出力電圧や最大出力電流、パッケージなどが異なる12製品からなる。12製品の主な仕様は、下表の通り。量産は2020年10月に月産5万個体制で開始した。サンプル価格は500円(税別)である。同社は、新製品を搭載したリファレンスデザインを用意している。例えば、ADAS機器/車載インフォテインメント機器向けリファレンスデザイン「REFRPT001-EVK-001」である。このリファレンスデザインが、放射電磁雑音の規制値「CISPR 25クラス5」をクリアできることを確認した、という。

出力電圧や最大出力電流、パッケージなどが異なる12製品を発売した
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