エイブリックは、外形寸法が2.0mm×3.0mm×0.5mmと小さい8端子HSNTパッケージに封止した降圧型DC-DCコンバーターIC「S-19902/3シリーズ」を発売した(ニュースリリース)。同社によると、「外形寸法は業界最小」という。さらにスイッチング周波数を2.2MHz(標準値)と比較的高い値に設定したため、外付けのコンデンサーやインダクターに小型品が使える。こうした外付け部品を含めた降圧型DC-DCコンバーター回路全体の実装面積は8.8mm×3.9mmに抑えられるとしている。「競合他社の同機能品と比べると、実装面積を最大で35%削減できる」(同社)。車載用Pb(鉛)蓄電池の+12V出力を入力して、マイコンやセンサーなどに供給する+3.3Vや+5Vの電圧に変換する用途に向ける。車載用半導体ICの品質規格「AEC-Q100グレード1」に準拠する。

「業界最小」の降圧型DC-DCコンバーターIC。エイブリックのイメージ
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 具体的な応用先として、車載用カメラモジュールを挙げている。同社によると「車載用カメラモジュールは高画素化が進んでいる一方で、自動車全体のデザイン性を損なわれないようにするために、モジュールの外形寸法の小型化が求められている。今回の新製品は、こうした要求に応えたものだ」という。車載用カメラモジュールのほか、エンジンやトランスミッション、サスペンション、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)などの電子制御ユニット(ECU)に使える。

 フィードバックループの制御方式は電流モードである。同期整流方式に対応しており、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチの両方を集積した。オン抵抗はハイサイドスイッチが0.85Ω(標準値)、ローサイドスイッチが0.35Ω(標準値)である。入力電圧範囲は+4.0〜36.0V。出力電圧は+2.5〜12.0Vの範囲で、外付け抵抗を使って設定できる。最大出力電流は600mA。変換効率は91%が得られるという。電流モード制御方式を採用していることに加えて、スロープ補償回路や位相補償回路を最適化することで、負荷過渡応答特性を高めた。

 S-19902シリーズとS-19903シリーズの違いは、スイッチの制御方式にある。S-19902シリーズは重負荷時も軽負荷時もPWM制御方式を採用する。S-19903シリーズは、重負荷時はPWM制御方式だが、軽負荷時はPFM制御方式に切り替える。一般に、軽負荷時にPFM制御方式を適用すると出力のリップル電圧が大きくなるという問題がある。今回は、同社独自に低リップル回路を導入することで、小容量の外付けコンデンサーでもリップル電圧を抑えられるという。過電流保護機能やサーマルシャットダウン機能、短絡保護機能、ソフトスタート機能などを備える。パッケージは8端子HSNTのほかに、外形寸法が2.9mm×4.0mm×0.8mmでガルウィング型の8端子HTMSOPを用意した。動作温度範囲は−40〜+125℃。価格は明らかにしていない。