米BorgWarner(ボルグワーナー)は2021年11月2日、ドイツの自動車メーカー(社名未公表)に電気自動車(EV)用の800VのSiCインバーターを供給すると発表した。新インバーターは従来品より高効率で高い電力密度が得られ、EVの航続距離を延ばすことが可能になるとしている。このドイツのメーカーは、複数のEVにこのSiCインバーターを搭載する予定で、搭載車両は2023年から生産を始めるという。

EV用のSiCインバーター
EV用のSiCインバーター
(写真:BorgWarner)
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 このインバーターは、両面冷却式パワースイッチを特徴とする。同社が開発した冷却技術をベースに、半導体面積を縮小しSiC使用量を削減した。そのことにより、Siベースのインバーターと比べて小型・軽量で低コストのシステムを実現したとする。Si絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスター・パワースイッチをSiC金属酸化膜半導体 FET(電界効果トランジスター)パワースイッチに置き換え、ワイヤーボンドレス・パワースイッチを採用することで、耐久性を大幅に向上した。これにより、スイッチング損失を最大70%削減し、電気駆動システムの性能向上とコスト削減を実現できるという。

 今回の供給が決まったことで、同社が進める電動化戦略がさらに進行した。同戦略では、2030年までにEV関連の売上高を45%伸ばし、2035年までにカーボンニュートラルを達成することを目標としている。同社は「世界的にEVの実走行での効率を向上できる技術の需要が高まっている。今回のSiCインバーターはそうしたニーズに大きく貢献できる」とコメントした。