東京都立産業技術研究センター(都産技研)は若林音響(本社東京)と共同で、幅広い周波数帯域に対応する吸音ユニットを試作した(ニュースリリース)。機械設備や建設工事現場で発生しやすい100Hz以下の低周波音から4000Hzの高周波音まで、さまざまな騒音の低減が可能という。

 試作品は、金属繊維製の吸音板、繊維系材料で製作した高周波用吸音機構、板を振動させて吸音する低周波用吸音機構から成る(図1)。低周波数用の機構と高周波数用の機構を組み合わせてユニット化することで、幅広い周波数帯域に対応している。特に低周波数用吸音機構では、板を効率的に振動させる固定方法を考案し、吸音性能を高めた。

図1:吸音ユニットの断面
繊維系材料製の高周波用吸音機構で板状の低周波用吸音機構を挟んだ構造で、表面(手前の青色の部分)には金属繊維製の吸音板を設置している。「産業交流展2019」(2019年11月13~15日、東京ビッグサイト)に出展したときのもの。(撮影:日経xTECH)
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 一般に低周波音を吸音するには、多孔質材などの吸音材を厚くして設置したり、板を振動させて吸音させたりする。しかし従来は、吸音材が厚いと設置に広いスペースが必要、特定の周波数でしか効果を得られないなどの課題があったという。

 それに対して試作品は、63~4000Hzの帯域で0.75以上の吸音率を実現した(図2)。この場合の吸音率は、さまざまな角度から音が入射する条件での吸音性能を測る「残響室法」によって調べたもので、グラフの数値は1/3オクターブバンド(1/3オクターブの幅を持った周波数の帯域)で測定した結果の平均値を示す。

図2:吸音ユニットの吸音性能
63~4000Hzの帯域で0.75以上の残響室法吸音率を実現した。(出所:東京都立産業技術研究センター)
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 寸法は縦100×横70×厚さ30cmで、質量は約15kg。表面に金属繊維製の吸音板を採用することで、布仕上げの吸音材に比べて強度を向上させるとともに、設置する環境に合わせた彩色を可能にした。ユニット同士を組み合わせれば、無響室などの音響試験室としても使用できるので、製品・技術開発の現場でも使える(図3)。

図3:吸音ユニットで製作した簡易型の音響試験室
「Automotive Testing Expo China 2019」に出展したときのもの。(出所:東京都立産業技術研究センター)
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