米Texas Instruments(TI)は、スマートスピーカー向けA-D変換器IC「TLV320ADC5140」を発売した(ニュースリリース)。同社の「Burr-BrownオーディオADCファミリ」に含まれる製品だ。同社によれば、新製品を使うことで、競合他社品に比べて距離が4倍離れた場所からでも音声を捕捉できるという。「スマートスピーカーに適用すれば、大声で話しかけることが不要になったり、部屋の端から話しかけたりすることが可能になる。また、オーディオレコーダーに搭載すれば、騒音が大きい環境でも低歪みのオーディオ録音ができるようになる」(同社)とする。
 4倍離れた場所からでも音声を捕捉可能にしたポイントは2つある。1つは、音声入力のチャネル数を増やしたことである。4個(クワッドチャネル)のΔΣ(デルタシグマ)型A-D変換回路を内蔵し、アナログマイクロホンならば4チャネル、デジタルマイクロホンならば8チャネルの入力を可能にした。もう1つのポイントは、ダイナミックレンジを改善する機能「ダイナミック・レンジ・エンハンサ(DRE)」を搭載したことである。これを使うことで、ダイナミックレンジを120dBに広げることが可能になった。具体的な応用先は、スマートスピーカーやオーディオレコーダーのほかに、サウンドバーやワイヤレススピーカー、高解像度テレビ、IPネットワークカメラ、テレビ会議システム、スマート家電などを挙げている。

新製品を紹介するTIのAbhi Muppiri氏(Audio ADCs and Codecs Marketing)。日本テキサツ・インスツルメンツの写真
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 4個のΔΣ型A-D変換回路のほか、チャネル利得を設定可能なプログラマブル利得アンプ(PGA)や、デジタル・ボリューム制御回路、プログラム可能なマイクロホン用バイアス電圧出力回路、PLL(Phase Locked Loop)回路、プログラム可能な高域通過フィルター回路、バイカッドフィルター、デシメーションフィルターなどを集積した。A-D変換回路のサンプリング周波数は8k〜768kHzの範囲で設定可能だ。ダイナミックレンジは、DRE機能が無効なときに108dBである。全高調波歪み+雑音(THD+N)は−95dB。さらに、複数のA-D変換回路を組み合わせて使うことでダイナミックレンジを広げることができる。2個のA-D変換器を組み合わせた場合は111dB、4個を組み合わせた場合は114dBが得られる(いずれの場合もDRE機能は無効になる)。デジタルオーディオ信号入力はPDMと、I2S、左揃え(LJ)に対応する。

スマートスピーカーなどに向けたクワッドチャネルのA-D変換器IC。TIのイメージ
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 電源電圧は+3.3Vもしくは+1.8V。消費電力は、+1.8V駆動でサンプリング周波数が16kHzのときに8.7mW/チャネル、48kHzのときに9.5mW/チャネルである。パッケージは、実装面積が4mm×4mmの24端子WQFN。動作温度範囲は−40〜+125℃。1000個購入時の米国での参考単価は2.99米ドルである。開発用に評価モジュール「ADC5140EVM-PDK」を用意した。米国での参考単価は199米ドルである。