長瀬産業は米IBMと共同で、材料探索プラットフォーム「TABRASA(タブラサ)」を開発した。手法が異なる2種類の探索エンジンを使い、異なるアプローチを組み合わせて新素材を探すのが特徴。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)用のSaaS(Software as a Service)型サービスとして、長瀬産業が提供する。

図:「TABRASA」の2種類のエンジン
将来は、両エンジンを連携させる機能を持たせる計画。(出所:長瀬産業)
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 TABRASAは、人工知能(AI)に学習させた物質の分子構造や物性値データから新素材の化学構造式を導く「アナリティクス・アプローチ」と、論文・技術資料などの文書を言語処理して新たな知識を出力する「コグニティブ・アプローチ」の2種類の探索手法(探索エンジン)で材料を探していく(図)。当面はこれら探索エンジンを個別に提供するが、将来は両者を連携させる機能を追加し、より高効率な探索を可能にする計画だ。

 コグニティブ・アプローチについては、自然言語処理の精度を高めたため、情報に規則性がない論文やビジネス文書など、いわゆる非構造化データを構造化して内容を的確に理解できるという。ユーザーの基盤技術や特許技術、研究成果や論文データを体系化した知識として蓄積し、それらを自然言語処理することで、新たな知識を導く。固定観念や先入観にとらわれない合成方法などの提案が期待できる。

 カスタマイズ性が高いため、ユーザーの注目している分野や目的に応じて知識の体系化が可能。入力データを増やすことで、提案の質の向上を図れる。

 TABRASAは、IBMのクラウド環境でユーザーの機密情報を安全に管理しており、高度な知識・技術を有する専門人材がいなくても使いやすいのも利点という。ユーザーは初期投資なしでランニングコストのみで同サービスを利用できる。大手メーカーから中小企業、ベンチャー企業までのさまざまな規模の企業の利用を想定している。