ルネサス エレクトロニクスは、最大データ伝送速度が1Mビット/秒(bps)と高く、中継なしの最大伝送距離が1kmの電力線通信(PLC:Power Line Communication)モデムICを発売した ニュースリリース 。最大データ伝送速度は、同社従来品の約3.3倍と高い。最大伝送距離は同社従来品と同等の1kmを確保した。また「電圧レギュレーターや送信用アンプなどのアナログ周辺機能を最適化することで外付けの受動部品を減らした。これで、電力線通信システムのコストと外型寸法を削減できる」(同社)。応用先は、スマートメーターや、ビルディングのHVAC機器制御、照明システム制御、太陽光発電システムのストリング監視、水中ポンプのモーター監視などである。

1Mビット/秒、1km伝送が可能な電力線通信モデムIC
1Mビット/秒、1km伝送が可能な電力線通信モデムIC
(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 新製品の型番は「R9A06G061」。電力線通信規格「G3-PLC」の物理(PHY)層をベースに、同社独自の通信方式を組み合わせた。「ネットワーク構成は、バス型やスター型といったシンプルなP2P(Peer to Peer)構成に特化した」(同社)。同社従来品は、電力線通信規格の「G3-PLC」と「PRIME(Power Line Intelligent Metering Evolution)」に準拠しており、メッシュ型やツリー型といったマルチポップネットワーク構成に向けたものだった。送信駆動能力は114dBμVrmsと高い。このため200個程度のモデムIC(エンドポイント)を接続できる。同社従来品「R9A06G037」に比べると、接続可能なモデムICの個数は約2倍という。

 新製品では、ホスト(上位)マイコンとのインターフェース処理などを担当する英ArmのCPUコア「Cortex-M0+」や、電力線通信のOFDM変復調信号処理(物理層)を担うDSPコア、アナログ・フロント・エンド(AFE)回路、電圧レギュレーターなどを1チップに集積した。CPUコアの最大クロック周波数は92MHz。32KバイトのSRAMを集積した。DSPコアの最大クロック周波数は276MHzであり、OFDM変復調信号の処理はソフトウエアで実行する。AFE回路は、ΔΣ型A-D/D-A変換器や送信用フィルター、送信用プログラマブル利得アンプ(PGA)、受信用PGAで構成した。

新製品の内部ブロック図
新製品の内部ブロック図
(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 電源電圧は+3.3V。パッケージは、実装面積が6mm×6mmの40端子QFN。動作温度範囲は−40〜+85℃。すでに量産を始めている。価格は明らかにしていない。交流(AC)電源ラインと直流(DC)電源ラインにそれぞれに最適化した電力線通信ユニットや評価ボードを用意している。