空スペースは同社のADB軸受の一種として、シールを内蔵したアンギュラ軸受を開発した(図1)。モーターの小型化、軽量化に役立つ。

図1 開発したアンギュラ軸受
図1 開発したアンギュラ軸受
窒化ケイ素ボール、シール内蔵、ナノダイヤ(粒径がnmオーダーのダイヤモンドの粒が油の中に分散した潤滑剤)コート付きの「ADB-7202VVND」だ。 シールの外径が違うので表裏が分かりやすい。
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 同社は外輪の内側に溝を設け、玉が自律的に間隔を保つようにした軸受「ADB(Autonomous Decentralized Bearing=自律分散式転がり軸受)」を開発している 。保持器が要らないため玉と保持器の摩擦がなく、回転抵抗が小さい。

図2 深溝玉軸受の断面図
図2 深溝玉軸受の断面図
左が予圧を掛けない使い方。玉が左右両方の転動面に当たる可能性がある。右の矢印のように予圧を掛けると、上(外輪)では左側、下(内輪)では右側しか当たらない。
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 深溝玉軸受は本来予圧を掛けずに使うものである。このため内輪、外輪とも断面図で見て玉の左右両側に転動面がある〔図2(左)〕。ところが現在、多くのモータは軸を深溝玉軸受で支え、スラスト方向のガタをなくすために弾性体で予圧を掛けている。予圧を掛けると、左右の転動面のうち片側にしか玉が当たらない〔図2(右)〕。当たらない転動面を取り除けばアンギュラ軸受になるのだから、アンギュラ軸受とするのが自然だろう。

 深溝玉軸受とするのは一見無駄に見えるが、これには立派な理由がある。深溝玉軸受は量産していて安いこと、表裏がないため組み付けミスの心配がないこと、シールを内蔵した製品がそろっていることだ。市販のアンギュラ軸受は過酷な使われ方をしても大丈夫なように設計するので、どうしても保持器が頑丈になる。保持器が場所を取るためシールを内蔵させることができなかった。シールを後付けすると、設計、組み立ての両面でユーザーの負担になる。

 空スペースはADB化によって保持器をなくし、空いた空間を利用して非接触ゴムシールを組み込んだ。これでシール付きのアンギュラ玉軸受が実現する。例えば従来JISの呼び番号で「6302」という深溝玉軸受を使っていたものを、軸径と負荷荷重が同じ同社のアンギュラ玉軸受「ADB7202」に置き換える。外径は42mmから35mmに、幅は13mmから11mmに小さくなり、質量は83gから40gに軽くなる。

 同社は「7200」~「7206」などの一般的なアンギュラ玉軸受に対応するシール付きの軸受を最小ロット1000個から販売する。