米Analog Devices(ADI)は、周波数帯域が異なる4個の電圧制御型発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)を集積したマイクロ波モノリシックIC(MMIC:Monolithic Microwave Integrated Circuit)を発売した(ニュースリリース)。同社は、「クワッドバンドVCO」と呼ぶ。1個のVCOだけで構成するシングルバンドVCOと比べると、主に4つのメリットがある。1つ目は、広い周波数帯域に対応できること。2つ目は、消費電流を増やすことなく、位相ノイズを抑えられること。3つ目は、チューニング電圧が低いこと。シングルバンドVCOで広い周波数帯域に対応しようとすると、チューニング電圧が高くなっていた。4つ目は、集積した4つのVCOはいずれも基本波発振器であるため、VCO内の増幅効果によるサブハーモニック(低調波)発振が発生しないことである。「こうしたメリットがあるため、新製品を搭載した電子機器の設計に費やす工数を削減でき、市場に投入するまでの期間を短縮できる」(同社)という。ただし、デメリットもある。チップ面積が大きくなってしまうことである。

周波数帯域が異なる4個のVCOを集積したMMICの応用例(ハイエンドの計測機器)
Analog Devicesのイメージ
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 GaAs(ガリウムヒ素)材料で製造した。周波数帯域が異なる3製品を用意した。8.3G~15.2GHzで使える「HMC8074」と、11.9G~18.3GHzで使える「HMC8362」、18.1G~26.6GHzで使える「HMC8364」である。共振器や負性抵抗、バラクターダイオードなどを集積した。ハイエンドのテスト/計測機器や、VSAT(Very Small Aperture Terminal)システム、ポイント・ツー・ポイントもしくはポイント・ツー・マルチポイントのマイクロ波通信機器、防衛用電子機器などに向ける。

 例えば、周波数帯域が最も高いHMC8364の特性は以下の通り。集積した4つVCOの周波数帯域は、バンド1が18.1G~20.1GHz、バンド2が19.9G~22.3GHz、バンド3が22.1G~24.1GHz、バンド4が23.9G~26.6GHzである。最大RF出力パワーは4dBm。RF出力端子とチューニング端子はいずれも1つずつである。チューニング電圧範囲は0~+13.5V。電源電圧は+5.0V。消費電流は99mA(標準値)と少ない。

新製品(HMC8364)の内部ブロック図
Analog Devicesの資料
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 パッケージは3製品いずれも、実装面積が6mm×6mmの40端子LFCSP。動作温度範囲は−40~+85℃。すでに量産出荷を始めている。1000個購入時の参考単価は、HMC8074が85.87米ドル、HMC8362が99.27米ドル、HMC8364が157.93米ドルである。