新型コロナウイルス感染症の予防ニーズを捉え、三井金属が銅(Cu)コーティング製品を材料系展示会「第12回 高機能素材Week」(2021年12月8~10日、幕張メッセ)に出展した。同社が提供するCu粉を表面に被膜した製品群。Cuが持つ抗菌・抗ウイルス機能を付加価値とする。海外と比べて日本ではCuの抗菌・抗ウイルス機能に関する認知度が低く、潜在的なニーズを掘り起こせると三井金属は見込む。

 オーストラリアSPEE3Dが造ったのが、ドアプッシュプレートとドアノブ。被膜方法は、コールドスプレーだ。直径100μm以下の純Cuの粉を、基材であるステンレス鋼の成形品に高速で吹き付ける。すると、Cu粉が潰れながら基材に強固に付着し、厚さ数百μmの被膜を形成する。

SPEE3Dが商品化したドアプッシュプレートとドアノブ
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SPEE3Dが商品化したドアプッシュプレートとドアノブ
右がドアノブ、その隣がドアプッシュプレート。純Cuの皮膜を付けた。(写真:日経クロステック)

 ただ、純Cuは人によって好みが分かれる点が課題という。純Cuは指の脂で酸化して変色しやすく、長く使っているとくすんでくるからだ。

青色レーザーで溶かして被膜

 これに対し、発色性を改善したのが大阪大学とのコラボレーションで製作したドアノブだ。基材であるステンレス製ドアノブの成形品に、亜鉛を20~30質量%含むCu合金(青銅)粉を吹き付けつつ、青色レーザーで溶かしながら被膜する。膜の厚さは数百μmである。ピンクゴールドとイエローゴールドの発色を実現した。

大阪大学が製作したドアノブ
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大阪大学が製作したドアノブ
ピンクゴールド(右)およびイエローゴールド(左)に見える部分を青銅粉で製膜した。(写真:日経クロステック)

 Cuは青色レーザーの吸収率が高いため、青銅粉が溶けやすいという。また、青銅粉だけではなく、基材であるステンレス鋼の表面も青色レーザーで溶かし、青銅の被膜を強固に付着させている。この青銅粉も、直径が100μm以下だという。

 米LuminOre Copper Touch(ルミノーカッパータッチ)が商品化したのは、ドアノブや取っ手、マウス、便座など。「米環境保護庁(EPA)の認定を取った製品」(三井金属)である。

 製膜法は、Cuとニッケルから成る合金(CuNi)粉を液体の樹脂に混ぜたものを、基材である成形品に高速に吹き付ける。LuminOre Copper Touchはこの製膜法を「絶縁コールドスプレー」と呼ぶ。これにより、数百μmのCuNiの膜を得る。CuNi粉の直径は100μm以下だ。使える基材の種類が幅広いのが特徴で、金属はもちろん、ガラスや樹脂、木材にもCuNiの被膜を形成できる。

LuminOre Copper Touchの製品群
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LuminOre Copper Touchの製品群
CuNiの製膜によって独特の光沢を放つ。(写真:日経クロステック)

 これらの顧客に対し、三井金属はそれぞれカスタマイズした純Cu粉やCu合金分を提供するという。「日本では銀(Ag)がよく使われているが、Cuの方が抗菌・抗ウイルス性能に優れることを日本市場でPRしたい」(同社)。