ルネサス エレクトロニクスは、3相ブラシレスDC(BLDC)モーターに向けたゲートドライバーICを発売した ニュースリリース 。特徴は、ゲート駆動電流やデッドタイム(ハイサイドスイッチとローサイドスイッチが同時オフする期間)、電流検出/位置検出用アンプの利得などの特性を、SPIインターフェースを介してユーザーが設定できることである。同社は新製品を「スマート・ゲート・ドライバーIC」と呼ぶ。応用先は、産業用ロボットや電動工具、電動バイク、冷却ファン、ウォーターポンプ、ドローンなどである。

3相ブラシレスDCモーターの駆動に向けたスマート・ゲートドライバーIC
3相ブラシレスDCモーターの駆動に向けたスマート・ゲートドライバーIC
(出所:ルネサス エレクトロニクス)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社は、マイコンとスマート・ゲート・ドライバー・チップを1つのパッケージに収めたSiP(System in a Package)を2021年4月に発表している*。新製品は、このSiPからスマート・ゲート・ドライバー・チップを独立させ、その特性や機能を改良したものである。同社がスマート・ゲート・ドライバーICを単体で製品化するのは今回が初めて。「ほかのマイコンで制御したい、1つの大規模マイコンで複数のBLDCモーターを駆動したいなどのユーザーの声に応えるために製品化した」(同社)。

* 関連記事 ルネサス、マイコンをベースに3相BLDCモーター制御ICを開発

 新製品には、特徴がもう1つある。集積度が高いことだ。コアロジック回路やゲートドライバー、外部インターフェース回路のほか、500mA出力の昇降圧型DC-DCコンバーター回路や、200mA出力のLDOレギュレーター回路、3個のプログラム可能な可変利得差動アンプなどを集積した。昇降圧型DC-DCコンバーター回路はローサイドスイッチの駆動用電源など、LDOレギュレーター回路は外付けマイコンなどへの電力供給に、それぞれ使える。差動アンプは、シャント抵抗を使った電流検出回路に向けたものである。3個集積しており、いわゆる「3シャント構成」に適用できる。「集積度が高いため、設計に費やす労力や部品(BOM)コスト、基板上の実装面積を削減できる」(同社)。

新製品の内部ブロック図と応用回路例
新製品の内部ブロック図と応用回路例
(出所:ルネサス エレクトロニクス)
[画像のクリックで拡大表示]

 新製品の型番は「RAA227063」。駆動対象のスイッチング素子は、nチャネル型パワーMOSFETとGaN FET。ゲート駆動電流はソース時に最大1A、シンク時に最大2A。ホール効果センサーやエンコーダーなどの位置センサーを使った回路構成や、逆起電力検知によるセンサーレスの回路構成にも適用できる。モーター制御アルゴリズムは、6ステップ台形や150度駆動、ベクトル制御などが使える。入力電圧範囲は+4.5〜60V。スイッチング周波数は200kHzである。

 パッケージは、実装面積が7mm×7mmの48端子QFN。動作温度範囲は−40〜+125℃。すでに量産を始めている。価格は明らかにしていない。応用開発向けに、新製品やパワーMOSFETブリッジ回路などを搭載した3相BLDCモーター駆動用評価キット「RTKA227063」を用意した。