エイブリックは、ZCL(Zero Crossing Latch)検知方式を採用した車載機器向けホール効果センサーIC「S-57TZ Sシリーズ」を発売した(ニュースリリース)。自動車に搭載するブラシレスDC(直流)モーターの駆動に向ける。特徴は、動作温度範囲を−40〜+150℃に広げた点にある。車載用半導体ICの品質規格である「AEC-Q100グレード0」に準拠する予定だ。さらに、生産部品承認プロセス(PPAP:Production Parts Approval Process)への対応が可能という。

 同社は、ZCL検知方式技術を開発し、2018年10月に産業機器向け製品を発表した(関連記事)。2019年11月には、民生機器向け製品を追加しており(関連記事)、今回の車載機器向けは第3弾製品という位置付けになる。

車載機器に向けたZCL検知方式のホール効果センサーIC。エイブリックのイメージ
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 ZCL検知方式とは、外部から印加される磁束密度がS極からN極、もしくはN極からS極に切り替わる0Tに達した点を検知して信号を出力する方式だ。従来のホール効果センサーICは、単極検知(ユニポーラー)、両極検知(オムニポーラー)、交番検知(バイポーラー)という検知方式を採用していた。いずれもS極、もしくはN極の切り替わり点である0Tを通過した時点で信号を検出できず、設定した検出点(BopとBrp)に達したタイミングで検出していた。このため、0Tから検出点に達するまでの遅れ時間が発生してしまう問題があった。ZCL検知方式を使えばこの問題を解決でき、「設計の自由度が格段に高まるため、ホール効果センサーICの位置精度や部品のばらつきといったモーターの性能に影響を与える要因を減らしたり、製造工程におけるキャリブレーション作業の負担を軽減したりすることが可能になる」(同社)という。

 ゼロクロスのラッチ点(BZ)は0.0mT(標準値)。S極の解除点(BRS)が3.0mT(標準値)でN極の解除点(BRN)が−3.0mT(標準値)の製品と、S極の解除点(BRS)が6.0mT(標準値)でN極の解除点(BRN)が−6.0mT(標準値)の製品を用意した。チョッピング周波数は500kHz(標準値)。出力の遅延時間は8.0μs(標準値)である。出力信号形式は、nチャネルのオープンドレイン、もしくはnチャネルのドライバーと内蔵プルアップ抵抗の組み合わせのどちらかを選択できる。電源電圧は+2.7〜26.0V。パッケージは、実装高さが0.8mmのTSOT-23-3S。このほか、実装高さが0.5mmの6端子HSNT(2025)封止品も開発中である。逆接続保護回路や出力電流制限回路などを搭載した。価格は明らかにしていない。