ファインバブル産業会(FBIA)は、慶応義塾大学と共同でファインバブル(FB)技術の計測や評価を行うための施設「ファインバブルWell-Beingラボ」を開設した。稼働開始は2021年12月24日。FBIAは、液体内のμmオーダーやnmオーダーの微細気泡であるFBの生成・活用技術の普及を推進する組織。FBは既に自動車専用道路のトイレの洗浄、工作機械のクーラント、医療機器の減菌といった産業利用が進んでいる他、洗濯機やシャワーヘッドなどの民生用途でも使われ始めている。

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ラボに設置されたファインバブルの計測機器や発生装置群
ラボに設置されたファインバブルの計測機器や発生装置群
(出所:上は日経クロステック、下はFBIA)

 同ラボは慶応義塾大学の新川崎タウンキャンパス内にあり、FBの粒径・濃度・軌跡などを測定する計測器を6種類、方式の異なるFBの発生機などを4種類備える。民生用のシャワーヘッドやノズルなども設置している。ラボには職員4人(研究員2人)が在籍し、受託計測や計測のコンサルティング、FB基準水の製造などを請け負う。FBIA会員に限らず、非会員企業や研究者など、FB関係者なら誰でも利用可能だ。FB用の計測器と発生器がこれだけそろっているのは世界でもここだけという。

* FBの発生方式としては「加圧溶解方式」「気液混合せん断方式」「二相流旋回せん断方式」などがある。

 ラボ名にあるWell-Beingとは、「幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態」〔世界保健機関(WHO)による定義〕を意味する。SDGs(持続可能な開発目標)の1つにも掲げられており、「健康経営」を志向する企業が増える中で、近年Well-Beingへの注目が高まっている。

 FBIAではFBを「Well-Being貢献技術」と位置づけている。FBには、洗浄作用や植物の成長促進作用、減菌作用などがあるとされ、工業利用から生活分野まで応用すれば、Well-Being達成につながるのに加え、医療分野や農業分野などへの適用によってSDGsの実現にも寄与するとみているからだ。「(FBは)水と空気の混合物なので安全でかつさまざまな作用が期待でき、応用技術がSDGsの目標達成に寄与する。既に産業、農業、医療、日常生活で利用され効果が出始めている」(IDEC常務執行役員でFBIA副会長の藤田俊弘氏)。

FBIA副会長の藤田俊弘氏(IDEC常務執行役員、写真右)とFBIA理事で慶応義塾大学理工学部・理工学研究科教授の寺坂宏一氏(同左)
FBIA副会長の藤田俊弘氏(IDEC常務執行役員、写真右)とFBIA理事で慶応義塾大学理工学部・理工学研究科教授の寺坂宏一氏(同左)
(出所:日経クロステック)
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 これまでFBIAは、国際標準化による産業基盤の構築、認証登録制度によるファインバブル技術製品の信頼性向上など、会員の商品化・産業化を支援する「基盤整備型事業」を中心に活動してきた。しかし、新たにWell-Beingの実現に向けたFB産業の育成や技術支援を加速する「産業創成推進事業」(インスティチュート事業)を活動の柱の1つに据えることとした。同ラボはこのインスティチュート事業を展開する中核施設との位置付けだ。

 藤田氏は、「アプリケーションが広がってきたので、今後は産業創成事業に力を入れていく。(新設した)ラボはその取り組みの第1弾となる。消費者向けはもちろん、植物工場、水質改善、加工プロセスなど産業応用も広がっており、そうしたアプリケーションをWell-Beingの視点から世界に先駆けて認証し、世界のファインバブル市場を日本が席巻できるようにしていきたい」と意気込みを語った。