「ノーコード/ローコード開発ツール」という言葉が昨今注目を集めている。プログラミングが不要もしくは簡易なプログラミングによって業務システムを構築できるツールを指す言葉だ。こう聞くと、「エンドユーザーコンピューティング」を思い起こす読者も多いのではないだろうか。両者の違いは何なのか?ノーコード/ローコード開発ツールをユーザー企業はどうとらえるべきなのか?調査データを手掛かりに考えていくことにしよう。

多種多様なノーコード/ローコード開発ツールを整理する

 まず、ノーコード/ローコード開発ツールとは何かを整理しておこう。ノークリサーチではこれを、『プログラミングが不要(ノーコード)もしくは簡易なプログラミング(ローコード)によって業務をシステム化できる開発ツール』と定義している。

 この定義からも分かるように、「ノーコード/ローコード開発ツール」は非常に広い概念であり、該当するツールは多岐にわたる。例えば、「プログラミングが不要」といっても、簡単な操作でシステム仕様を定義し、最終的にJavaやC#などの汎用言語を生成するものや、汎用言語を介さずに直接システムを構築していくものなど、実現方法も様々だ。

 さらに、グループウエアやCRM(顧客情報管理)といった既存の業務システムから派生し、プログラミングなしで独自のアプリケーションを構築できる機能を備えたものもあれば、PaaS(Platform as a Service)のように、クラウド上で簡易なプログラミングを行える環境を提供しているものもある。

 どこまでの範囲を「ノーコード/ローコード開発ツール」とするかについて、現時点で明確な共通定義はないが、ノークリサーチでは様々なベンダー、販社/SIer、ユーザー企業から得た知見に基づき、「ノーコード/ローコード開発ツール」を以下の6通りに分類している。

 ここでは、以下の6通りのいずれかに当てはまり、プログラミングが不要(ノーコード)もしくは簡易なプログラミング(ローコード)によって業務をシステム化できる開発ツールを「ノーコード/ローコード開発ツール」と呼ぶことにする。

超高速開発ツール:
データ構造 や画面レイアウトなどをツール上で設計/指定することで、プログラムを自動生成するもの。具体例は以下の通り。

製品/サービス名提供元
GeneXusジェネクサス・ジャパン
OutSystemsOutSystems
Magic xpa(dbMagic)マジックソフトウェア・ジャパン
Web PerformerキヤノンITソリューションズ
AppSQUARE日立ソリューションズ東日本

PaaSとして提供されているもの:
クラウド上に開発環境と実行環境が配備されており、月額/年額制のサービスとして提供されているもの。具体例は以下の通り。

製品/サービス名提供元
Lightning Platform(Force.com)セールスフォース・ドットコム
kintoneサイボウズ
Microsoft Power Apps日本マイクロソフト

カジュアルデータベース:
Microsoft Accessのようにデータ構造を定義し、部品を組み合わせて操作画面や表示画面を作成するもの。具体例は以下の通り。

製品/サービス名提供元
Claris FileMakerApple Japan
UnitBaseジャストシステム
Zoho Creatorゾーホージャパン
コンテキサーアプストウェブ

グループウエアと関係が深いもの:
グループウエアベンダーによって提供され、独自のアプリケーションを作成できる仕組みを備えたもの。具体例は以下の通り。

製品/サービス名提供元
AppSuiteネオジャパン
SmartDBドリームアーツ
POWER EGG Webデータベースディサークル
サイボウズ デヂエ(2023年9月 サポート終了)サイボウズ

CRMと関係が深いもの:
CRM導入/活用の一環として導入されることが多く、独自のアプリケーションを作成できる仕組みを備えたもの。具体例は以下の通り。

製品/サービス名提供元
SMILE V Custom AP BuilderOSK(大塚商会グループ)
SMILE V CRM QuickCreatorOSK(大塚商会グループ)
SPIRALパイプドビッツ

データ連携を重視したもの:
複数のクラウドサービス間を連携することに重点を置いたもの。具体例は以下の通り。

製品/サービス名提供元
Microsoft Power Automate日本マイクロソフト
Boomiデル・テクノロジーズ
IFTTT米IFTTT
Zapier米Zapier
AnyflowAnyflow

 ノーコード/ローコード開発ツールを比較検討する際には、「参考にしている資料や記事が、上記の6分類のどれを対象としているのか」を意識することが大切だ。例えば、データ連携が重要な役割を果たすシステムを開発したいのに、「データ連携を重視したもの」が含まれない情報源を参照してしまうと、要件に適さないツールを選んでしまう可能性がある。ノーコード/ローコード開発ツールを検討する際には、まずは広い視点を持つことが大切だ。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。