「紙面からの転記」をはじめとする手作業を効率化する手段として、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は普及してきた。これは働き方改革に伴う業務効率化の一環でもあった。一方、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う事業継続対策においても、RPAは重要な役割を担うようになるかもしれない。今回は、年商500億円未満の企業を対象とした調査結果から、その可能性を考察していこう。

 その前に、本稿のタイトルで使った「アフターコロナ」という言葉の指す意味を明確にしておこう。現段階ではワクチンがまだ開発されておらず、多くの企業は感染リスクを最小限に抑えるためのさまざまな対策や制限を余儀なくされている状況だ。そのため、現在は「アフターコロナ」ではなく、「Withコロナ」だという指摘もある。

 だがここでの「アフター」は、新型コロナウイルスの感染拡大により、社会やビジネスの慣習が大きな影響を受けた、その後の状態を指している。感染症が収束したという意味ではない点に留意されたい。

RPA活用の主流は「転記作業」の自動化


 次のグラフは年商500億円未満の企業に対して、RPAの用途を尋ねた結果である。RPAを「導入済み」の企業群と「導入予定」の企業群に分けて集計した。

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 選択肢として回答企業に示した自動化の対象業務は以下の通りである。

自動化の対象業務代表的な例
「Webサイトからの転記」競合他社の価格情報を検索して一覧に整理する
「紙面からの転記」紙の申込書の内容を顧客管理システムに入力する
「メール文面からの転記」メールでの注文内容を販売管理システムに入力する
「データの集約と修正」店舗や拠点の売上データを統一された書式にまとめる
「資料やリポートの作成」会計システムのデータを経営層に報告するためにグラフ化する
「データと証票の照合」経費精算システムのデータと領収書の内容を照合する
「データや書式の変換」システムAのデータをシステムBに読み込めるよう変換する
「ワークフローの分岐」ワークフローにおける条件分岐を、過去の履歴などを元に判断する
「メールの自動返信」メールによる問い合わせに対し、過去の履歴などを元に応答する
「データ分析と予測」優良顧客や要注意顧客を、顧客情報や履歴データを元に推定する
「Q&Aサイトでの応答」Q&Aサイトに書かれた質問に対し、過去の履歴などを元に応答する

 グラフを見ると、「導入済み」「導入予定」の企業群のいずれも、「Webサイトからの転記」「紙面からの転記」といった転記作業が多く、回答比率は3割を超えている。「導入予定」の企業群ではこれに加えて、「データの集約と修正」「資料やリポートの作成」といったデータ加工に関する用途も3割を超える。

 データ転記もデータ加工も手作業の自動化に該当する用途であることから、働き方改革に伴う業務効率化を目的にRPAに取り組む企業が多いことがうかがえる。だが今回はさらに踏み込んで、働き方改革の文脈だけでなく、新型コロナ対策に不可欠なBCP(事業継続計画)をどう実現するかという観点から、RPAへの取り組み実態を分析・考察してみよう。

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